「めかぶ」と「もずく」。

「めかぶ」は、わかめの根元部分のこと。



「めかぶ」と「もずく」はどう違うのか? スーパーに並んで陳列される両者



「もずく」は、モズク科やナガマツモ科に属する海藻の総称。


「めかぶ」と「もずく」はどう違うのか? スーパーに並んで陳列される両者



食感も味ももちろん違うけれど、スーパーではいつも同じコーナーに並んで陳列され、食卓でも同じポジションに位置している。形状も、納豆のような縦積みの四角い容器や丸いカップの3連など、同じであることが多い。

とかく同じような扱いをされがちな両者だが、気になるのは、賞味期限と値段の違いだ。
一緒に買おうとして、めかぶだけ高いことに気づいたり、まとめて買って冷蔵庫に入れ、気づいたら、めかぶのほうが賞味期限ギリギリになっていたりしたことはないだろうか。
「めかぶ」のほうが「もずく」よりも賞味期限が短く、値段も高いことが多いからだ。
なぜなのか。カネリョウ海藻株式会社に聞いた。

「確かに、めかぶのほうがもずくより賞味期限が短い商品が多いですが、それはめかぶが、調味液に漬け込んでいない生タイプで調味液別添のものが多いからです」(広報担当・山本さん 以下同)

一般的に、生タイプのめかぶの賞味期限は、1週間~10日程度であるのに対し、調味液に漬け込んだものは20日間程度だそう。
一方、もずくの場合は、スタンドタイプの場合は賞味期限20日間弱だが、たいてい三杯酢や黒酢などの調味液につけてあるため、25日間くらいのものが多いという。

では、なぜめかぶは生タイプが多く、もずくは調味液に漬けたものが多いのか。
「めかぶはわかめの根元部分なので、色味が大切です。
本来はわかめの若竹色であることがいちばん良いのですが、それが調味液につけると黒くなったり、失われたりしてしまいますし、食感もなくなってしまいますので、生タイプが多いのです。でも、もずくの場合は醤油ベースの調味液につけても、もともと黒っぽい色があまり変わらないため、調味液に漬けるものが多いのです」
ちなみに、もずくも長く漬けていると表面が溶け出し、劣化につながるため、カネリョウでは一般より賞味期限を2~3日短くしているそう。

また、値段については、めかぶが一般的に178円~198円程度で、もずくは100円~128円程度が多いそう。めかぶのほうが高いのはなぜか。
「値段の違いは、いちばん大きい理由が、原価の違いです。例えば、もずくは一般に流通しているものの90%が沖縄でしかとれない『太もずく』で、ほとんどが養殖ものです。
一方、めかぶの産地は一番が三陸で、二番目は鳴門で、生産地に関してはめかぶのほうが多いのですが、わかめの場合、中国や韓国からの安い輸入品が多数入ってくることの影響もあり、国産ものは原価が高くなるのです」

原価の違いを考えると、めかぶのほうが高いのは当然のようだが、ときどき3連カップなどでめかぶともずくが同じ金額の場合もある。それはなぜ?
「もずくはたいてい知念、恩納村などの様々な地域のものを集めて混ぜているのですが、産地指定になると、その分高くなるということがひとつ。もう一つは、『無添加調味液』などの付加価値をつけることで、めかぶと同程度の金額になることもあります」

また、消費者側としては「1カップ」としてしか見ないため、グラム調整により価格を揃えているケースもあるのではないかと言う。
では、もずくとめかぶ、どっちのほうが売れてるの?
「めかぶはネバネバ系が好きな人、黒い食べ物に抵抗がある人などに好まれますが、西日本ではあまり食べられず、昔から食べていた地域の東日本~東北でのシェア率が高いのです。一方、もずくは健康ブームで一気に広まったため、地域に関係なく満遍なく売れているのは、もずくのほうですね」

ちなみに、好きな人は交互に食べるというケースも多いよう。

もずくとめかぶ、皆さんはどちらが好きですか。

(田幸和歌子)