富山県高岡市は藤子・F・不二雄のふるさと
『ドラえもん』の作者である藤子・F・不二雄氏にちなんだスポットといえば、神奈川・川崎にある「川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム」が有名。だがもう1つ、富山県高岡市に「高岡市 藤子・F・不二雄ふるさとギャラリー」という、こちらもファンにはたまらない場所があるのをご存じだろうか?
川崎市は藤子F氏が大人になってからずっと住んでいた街。一方、高岡市は、子どもの頃に住んでいた街だ。
藤子F氏は、「子どものころ、ぼくは“のび太”でした」という言葉を残しているが、おそらく高岡での少年時代のエピソードには、マンガのヒントになったことも多かったのだろう。
大人が楽しい「高岡市 藤子・F・不二雄ふるさとギャラリー」
「高岡市 藤子・F・不二雄ふるさとギャラリー」は2015年12月にオープン。先日、実際に行ってきた。

どこでもドアをくぐれば、藤子F氏の子ども時代にタイムスリップ (C)藤子プロ
場所は富山県高岡市の高岡市美術館2階にあり、落ち着いた雰囲気。鮮やかなピンクのどこでもドアをくぐると、藤子F氏の生い立ちを写真と言葉でつづった映像が流れる。

藤子F氏が手作りした幻燈機(今でいうプロジェクターのようなもの)を再現してある (C)藤子プロ
展示室はシックで大人なムード。ギャラリーには、14歳の時に描いたと思われる肉筆のまんが冊子『妖怪島』も展示されている。

『妖怪島』を全ページ読めるコーナー。全ページ読めるのは、ここだけだ (C)藤子プロ
このほか、東京へ向かったときに持っていたカバンやペンなどの愛用品や貴重なカラー原画などの展示も見ものだ。

高岡の風景が感じられる作品の展示も (C)藤子プロ
展示にはとくに派手な演出はないが、だからこそ藤子F少年の熱き思いと作品の素晴らしさが胸にダイレクトに迫ってくる。「まんが家になりたい」という夢を温め続けた高岡での少年時代。この街での創作活動は、藤子F氏の原点だったんだなあ、と改めて思う。
ちなみにドラえもん、1970年の連載開始当初は、今とはまったく違うぽってりしたフォルムだったそう。

ぽってりドラえもん。高岡の伝統作業である高岡銅器でつくられている (C)藤子プロ
まだそこまで知名度が高くないのか、館内はそれほど混雑しておらず、ゆっくり見られるのも嬉しい。
ドラえもんのあの「学校のうら山」も実在した!?
高岡市内には、このほかにも藤子F氏ゆかりの地が多い。母校である高岡市立定塚小学校や富山県立高岡工芸高等学校などは現在もあるし、高岡古城公園内にある卯辰山は、アニメに出てくる「学校のうら山」のモデルになったともいわれている。

高岡古城公園の卯辰山。「学校のうら山」のモデルと聞くと、なんだかものすごく特別な場所に見えてくる
さらに最近では、ドラえもんや仲間たちに会えるスポットも多数生まれている。市民の憩いの場である高岡おとぎの森公園には、土管の置かれた「ドラえもんの空き地」やキャラクターやひみつ道具が描かれた「ドラえもんの日時計」がある。

高岡おとぎの森公園の「ドラえもんの空き地」。記念撮影も楽しい (C)藤子プロ
さらに、高岡市と射水市を結ぶ路面電車にはドラえもんのラッピングを施した「ドラえもんトラム」も走っている(※2018年8月末まで運行予定)。外観はもちろん、内観も壁や天井がキャラクターだらけでとってもかわいい。

ブルーの車体が目を引く「ドラえもんトラム」 (C)藤子プロ
このほか高岡市中央図書館の「ドラえもん文庫」には、いまは入手困難な初版印刷など貴重な藤子・F・不二雄作品もあるそう。こちらも時間があればぜひ訪れてみたいところ。
街のそこかしこでドラえもんを感じられる富山県高岡市。作者の足跡をたどり、その思いに触れると、あらためて作品の魅力にも気づかされる。ドラえもんに親しんだ人なら、誰もが歩いているだけでワクワクしてくる街だ。
(古屋江美子)
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