今や英国でも家庭でカツカレーを作る時代になったようだ。日本食自体はすでに定番の選択肢だ。
ロンドン市内のスーパーマーケットをのぞけば、日本食材が普通に売られているし、しょうゆや手巻き寿司セットは見慣れた光景となった。そんな中で見つけた、これ。カツカレー・レシピキット! 

英スーパーの家庭用カツカレーはどんな味?


同商品を販売するのは英大手小売店ウェイトローズ。カツカレーソース、パン粉、チリペースト(コチュジャン)がセットになったカツカレー調理用セットである。価格は3.99ポンド(約617円)。

パッケージ上に「KATSU CURRY」と表示されているように、同商品が日本のカツカレーを意識していることは間違いない。商品説明にも「本当のおいしい日本食を作れる手軽なキット」と書かれている。セットになったコチュジャンが少し気になるものの、本当にこれを使うと日本のカツカレーができるのか? 実際に作ってみた。

レシピは日本のカツカレーと同じ


同キットには肉と卵とご飯が入っていないため、それらを別途買いそろえる必要がある

英スーパーの家庭用カツカレーはどんな味?
キットの中身と別途購入した鶏肉と卵


まず肉。パッケージ裏の説明には、「カツに使う肉は鶏胸肉を」と書かれていた。確かにインド人は文化的に豚をあまり食べないし、インドにルーツを持つ人が多い英国では、鶏肉の選択がより自然だ。キットに含まれているカレーソースなどは、すべてベジタリアン仕様。インド人も安心して食べられる。


卵は鶏卵。パン粉をまぶす前に使う。ご飯は日本米を用意した。

キットに書かれている作り方はカツカレーそのもの。レシピを訳すと、鶏胸肉をかき混ぜた卵に浸け、パン粉(パン粉も「Panko」と日本語だった)で包む。黄金色になり、中まで火が通るまで揚げる。カレーソースを温め、揚げた鶏胸肉にカレーソースをかけて、炊いた白米と一緒にサーブすればできあがりだ。

肝心のお味は……?


一口食べてみる。うん? 悪くない。添付のカレーソースは、日本のカレーというより本場インドを意識したカレー。甘さの中に酸味をよく感じる。酸味の正体はレモンだ。
野菜や果実、香辛料が合わさった日本のウスターソースのような味に旨味も含まれている。カレーソース自体は味が濃い。そのためソースに対し、ご飯多めで食べて、ちょうど良いくらいになる。

英スーパーの家庭用カツカレーはどんな味?
完成品


チキンカツには添付のコチュジャンをお好みでかける。これを見た時、「え? それ付けたら日本のカレーじゃなくない」とも思ったが、使うと理由が分かった。甘酸っぱいカレーソースにチリペーストの辛さがアクセントになり、良い組み合わせになるのだ。

結論は「いいんじゃない」といった感じ。日本で売られているものとまったく同じ味のカレーを食べる機会があまりない英国において、同キットはそれなりに再現性が高いと思う。もちろん日本で売られている各種カツカレーと比べれば、味が少し異なるのは確かだ。しかし本道からあまりに外れているわけではなく、「英国内で購入できて、手軽に作れる」ということを考えれば、日本人的にも大枠で納得できる合格点のキットだった。
(加藤亨延)
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