電車に揺られながら飲むお酒が何より好きである。窓の外を過ぎ去ってゆく景色を眺めながら、旅情を噛みしめつつ飲む。
いつもと同じ銘柄の缶ビールのはずが、何倍も美味しく感じる。

友達とワイワイ飲むのも良いし、一人旅の途中で味わう酒もまた味わい深いものである。とはいえ、4人掛けのボックスシートならまだしも横並びのシートに座ってお酒を飲むのは気が引けるし、なかなか思うようにお酒を楽しむのは難しいものだ。場合によっては人の迷惑にもなるし。

そんな中、大阪・京都・滋賀を結ぶ京阪電車が実に粋なイベントを開催してくれた。「中之島ホーム酒場」と題されたそのイベントは、京阪電車・中之島線の「中之島駅」に特別に車両を用意し、車両内とホームを居酒屋にしてしまうという大胆な試み。


2016年6月22日~6月25日にかけて開催されるイベントの初日に様子を見に行ってみることにした。

中之島駅の改札外に設けられた「中之島駅ホーム酒場」への入口に向かうと、開場前からすでに行列ができている。
電車とホームが居酒屋に!? 「中之島駅ホーム酒場」で飲んできた

電車とホームが居酒屋に!? 「中之島駅ホーム酒場」で飲んできた

平日の17時前なのだが、おそらくみなさん、仕事は二の次で駆け付けた猛者たちかと思われる。

入場料は1,000円となっており、100円×10枚綴りの飲食チケットがついてくる。
電車とホームが居酒屋に!? 「中之島駅ホーム酒場」で飲んできた


会場となっているのは、ふだん電車の乗降に使用されている3番線ホーム。今回、居酒屋電車に姿を変えている2200系車両も通常運行に使用されているものだ。


電車の中に全10店のブースが特設されており、生ビールが300円で飲める「サントリー・ザ・モルツ」のブースや、牛すじ煮込みや唐揚げなどを販売する「京阪レストラン」のブースなどが用意されている。
電車とホームが居酒屋に!? 「中之島駅ホーム酒場」で飲んできた

車両に「柿の種」「牛すじコロッケ」などと書かれた紙が直接貼られている様は見ごたえがある。
電車とホームが居酒屋に!? 「中之島駅ホーム酒場」で飲んできた

梅田駅近くの「新梅田食堂街」に店舗を構える居酒屋「大阪屋」が出店していたり、インスタントラーメンの専門店「やかん亭さくら総本店」がご当地カップ麺を販売していたりとひねりもあって面白い。
電車とホームが居酒屋に!? 「中之島駅ホーム酒場」で飲んできた

電車とホームが居酒屋に!? 「中之島駅ホーム酒場」で飲んできた

車内には立ち飲み席や、横並び座席、中には囲炉裏席やお座敷席まである。
電車とホームが居酒屋に!? 「中之島駅ホーム酒場」で飲んできた

電車とホームが居酒屋に!? 「中之島駅ホーム酒場」で飲んできた

ホームに設置されたビールケース席も場末な感じで最高だ。
電車とホームが居酒屋に!? 「中之島駅ホーム酒場」で飲んできた


早速私も生ビールを購入し、車両の中で飲んでみた。
これがなんだかとても不思議な感覚で、少し悪いことをしているような、そしてその秘密を大勢のお客さんと共有しているような楽しさがある。
電車とホームが居酒屋に!? 「中之島駅ホーム酒場」で飲んできた

また、時おりとなりの線路を通常運行の列車が通って行くのも乙なもの。
電車とホームが居酒屋に!? 「中之島駅ホーム酒場」で飲んできた


どこをどう撮影しても非現実的なショットばかりになってしまうのが笑えるところである。
電車とホームが居酒屋に!? 「中之島駅ホーム酒場」で飲んできた

電車とホームが居酒屋に!? 「中之島駅ホーム酒場」で飲んできた

初日ということもあってかなり混雑していたが、会場内には車内とホーム合わせて250席が設けられており、居場所に困ることはなかった。

とはいえ、開場から1時間あまりで、「京阪電気鉄道 大津営業部」がおでんを出しているブースで販売数に制限がかかってしまったりと、予想以上の売れ行きに出店者側も驚いている様子だった。

京阪電気鉄道の広報の方に話を伺うと、「中之島駅ホーム酒場」には“お酒を楽しみつつ中之島の歴史と文化に触れて欲しい”という思いが込められているとのことで、使用している車両もあえて昭和39年製の最も車歴の古いものにしたり、車内に昔の京阪電車の姿を写したポスターを展示したりと工夫しているそうだ。


出店ブースについては、京阪沿線のお店に主旨を説明して協力してもらっているのだとか。また、前述の「京阪電気鉄道 大津営業部」ブースは京阪電鉄の社員の方で切り盛りしているという。

初日の盛況を受けて「初の試みでノウハウもまだないもので、不安なところもありますが(笑)たくさんの方に楽しんでいただければと思います」と語っていた。

来ているお客さんの中には、席が隣り合ったことがきっかけで早速仲良くなっている女性グループや、「今度は〇〇電鉄のビール電車に乗る予定です」と車内飲みのベテランらしき方などがおり、みんなこの夢のような状況を満喫している様子だった。

個人的には「電車で飲めるなんて最高やなぁ!」と言っている男性が「あんたいつも電車で飲んでるやん!」とお友達につっこまれていたのが面白かった。

「中之島駅ホーム酒場」は京阪電車・中之島線「中之島駅」で6月25日まで開催中!電車の中で気が済むまでお酒を楽しめるという滅多にないこの機会、ぜひお見逃しなく!

イベント情報:「中之島駅ホーム酒場
開催期間:2016年6月22日(水)~6月25日(土)
開催時間:17:00~21:30(入場は21時まで) ※6月25日は14:00開場
入場料:1,000円(1,000円分の飲食チケット付き)