東京・大田区にある「御嶽山駅」 火山と同名の理由とは

御嶽山といえば、長野と岐阜の県境に位置する3067mの高さを誇る霊山としても有名な山です。2014年に起こった大規模な噴火により、甚大な被害が発生したことでも記憶に新しい「御嶽山」ですが、そこから遠く離れた東京都内に「御嶽山」という名前の駅があることをご存じでしょうか。
果たして木曾の御嶽山とは関連があるのかないのか……? 御嶽山駅で下車してみました。


御嶽山の地名にちなんだビルも


東京・大田区にある「御嶽山駅」 火山と同名の理由とは

蒲田と五反田をつないでいる東急池上線にある御嶽山駅。駅周辺一帯は八百屋や総菜屋などが立ち並ぶ御嶽商店街になっており、周辺住民で賑わっています。
東京・大田区にある「御嶽山駅」 火山と同名の理由とは

駅を出て、すぐに目に入るのは巨大スーパー・イオン。こちらのスーパーが入るビルの名前は「田の原屋ビル」といい、これは御嶽山7合目の地名にちなんだものになっています。駅を出てすぐに木曾・御嶽山との関連を見つけることができました。
東京・大田区にある「御嶽山駅」 火山と同名の理由とは

そしてイオンの前にはこんこんと沸き出る「御嶽の霊水」が。
巨大スーパーと霊水という異質な組み合わせにクラクラします。こちらは、御嶽信仰の信者が禊(みそぎ)をするためにここに井戸を築いたのが元になっているそう。ちなみに飲用不可です。
東京・大田区にある「御嶽山駅」 火山と同名の理由とは

商店街をまっすぐ進むと、イオンの右手奥にすぐ神社の鳥居が見えます。そう、こここそが今回の目的です。


参拝者向けの店をもとに商店街へ発展


東京・大田区にある「御嶽山駅」 火山と同名の理由とは

御嶽山に登拝する御嶽信仰の「関東第一分霊社」として、江戸時代からこの地に鎮座する「御嶽神社」。
神社の鎮守の森のうっそうとした緑に、ここが住宅街であることを忘れてしまいそうな佇まい。
東京・大田区にある「御嶽山駅」 火山と同名の理由とは

この土地の氏神様でもある「御嶽神社」は、御嶽信仰の信者を中心に大勢の参拝者を集め、大正時代には最盛期を迎えました。そして参拝者向けに開いたお店は現在の御嶽商店街へとつながり、駅の名前も「御嶽山駅」となったのだそうです。
東京・大田区にある「御嶽山駅」 火山と同名の理由とは

そもそも御嶽信仰とは、御嶽山に鎮座すると伝わる神仏を拝む山岳信仰のこと。ここ御嶽山神社は元々小規模な社でしたが、御嶽山で修業を積んだ行者の一山(いっさん)が文政元年(1818年)に同神社を活動拠点と定めて以来、参拝客が大幅に増えたと伝えられています。
東京・大田区にある「御嶽山駅」 火山と同名の理由とは

手水舎で沸き出ている水の冷たさに驚きましたが、こちらは井戸水を使用しているのだそうです。
イオンの前で湧き出ていた霊水と同様のものなのでしょうか。飲んでみたい……でもこちらも飲用不可ということでした。また、境内には霊神水が湧き出る泉もあります。
東京・大田区にある「御嶽山駅」 火山と同名の理由とは

鎮守の森には御嶽山の山並みを彷彿とさせるような霊神碑がたくさん配置された「霊神の杜」があります。まだ見ぬ御嶽山、一体どんな景色なのだろう……。ちなみに、近年は原点の木曾地方とも結びついており、「神様が里帰りする祭り」として御嶽神社の神輿(みこし)を御嶽山の山腹まで持ち込んで担ぐ山興(やまかつぎ)祭を20年に一度行っています。

東京・大田区にある「御嶽山駅」 火山と同名の理由とは

参拝し、御朱印を頂きました。
駅前のイオンから御嶽神社まで、やはり御嶽山駅は木曾・御嶽山と深いつながりのある駅でした。駅からのアクセスも良好ながら雰囲気たっぷりで、都会の喧騒から離れることができる御嶽神社。境内にある「本社殿」と「一山神社」、「水行堂」、そして「第一社務所の1回平屋部分は」国登録の有形文化財にも選ばれており、江戸時代からの御嶽信仰の歴史を深く感じることができました。
「嶺の御嶽神社に3度参拝すれば木曾御嶽山に1度行ったのと同じ」とも言われる御嶽神社に行ってみてはいかがでしょうか。
(ちぷたそ)