御朱印を集めるほどではないのですが、私も年齢を重ねる毎にお寺の良さを理解してきた気がします。
とは言え、生活の中でお寺が当たり前にあるほどではない。どこかのお寺の檀家になっているわけでもなし。自覚していますが、寺院や仏教に未だ遠慮というか敷居の高さを感じています。


MCは「法話」、ライブは「法事」の“尼僧アイドル”


今、あるアイドルが話題になっている模様。奈良のお寺の副住職を勤めながら自称“尼僧アイドル”として2007年より活動しているのは、その名も「愛$菩薩(あいどるぼさつ)」です。
ライブを「法事」と呼ぶ、副住職でもある尼僧アイドル「愛$菩薩」とは?

彼女、仏教的意味合いを込めたオリジナル曲を携えつつ、お経をトラックに合わせてお称えし、MCを「法話」と呼び、主にライブハウスなどで「法事」と称したライブ活動を行っているとのこと。

昨今は様々なコンセプトのアイドルが存在しますが、その中でも「愛$菩薩」はかなりのインパクト。オフィシャルサイトを見れば「たくさんの若者へ向けて仏教に興味を持っていただくきっかけとなりたい」が彼女の真意だとわかります。
とは言え、仏教へ興味を持ってもらう方法としてなぜ“アイドル活動”を選んだのか。他にも手段は無かった? その辺り、本人に直接聞いてみました。
「僧侶になる前は歌手を目指してボイストレーニングに通っていたのですが、仏門に入ってからはその夢は自然と遠のきました。その後、過疎地で若い人が全くお寺へ来られない現状のなか布教をすることを考えたとき、若い人がいる場所へ自分が出向くことを思い付いたんです。以前はボイストレーニングをしていたこともあり、歌うのも好きなのでライブハウスで活動することになりました」(愛$菩薩さん)

若いうちに仏縁を結び、様々な人生の悩みがあるなかで仏教に導いてもらったという思いがある愛$菩薩さん。
ライブを「法事」と呼ぶ、副住職でもある尼僧アイドル「愛$菩薩」とは?
普段は、奈良のお寺の副住職を勤める。

だからこそ「悩み多い現代の人にも、その解決策を少しでもお伝えしたい」という目的でアイドル活動に取り組んでいるそうです。


「菩薩SONIC」、「お寺SONIC」なるイベントも開催


6月12日には、セカンドアルバム『菩薩コーリング』をリリースしている彼女。同作には「菩薩音頭」「念仏」「輪廻の向こう側へ」「極楽浄土」など全10曲が収録されており、作詞は愛$菩薩さん自身が担当しています。曲一つ一つに仏教的意味合いが込められていることは、曲名から容易に察することができるでしょう。
「愛する人との死別について、仏様の国について、人と生まれる尊さ、許すこと、内省することの大切さ、恋愛を通じて無常を感じる……といった内容の曲を歌唱しています」(愛$菩薩さん)

また、ライブでのMCを「法話」と呼んでいるとのことですが、一体どんなお話をしているのでしょうか?
ライブを「法事」と呼ぶ、副住職でもある尼僧アイドル「愛$菩薩」とは?

「仏教のお話をオリジナル曲の内容につなげるような形でお伝えしています」(愛$菩薩さん)
ライブハウスで開催されるイベント「菩薩SONIC」の模様はオフィシャルサイトで公開されていますが、是非とも視聴してみていただきたい。MCにもパフォーマンスにも、堅苦しさはまるで無しです!


ところで、こうした「法事」(ライブ)に足を運ぶのは主にどんな人なのでしょう。純粋に、愛$菩薩のファン? それとも、仏教に興味を持っている方ですか?
「両面あります。私のライブを観たことで仏教に興味を持たれた方もいらっしゃいますし、仏教への興味を入口に『ライブを観てみよう』と思って来てくださる方もいるようです」(愛$菩薩さん)

事実、「愛$菩薩」としての活動は、確実に“きっかけ作り”として実を結んでいるそう。
「昨年から『お寺SONIC』というイベントを自坊で始めており、これはライブハウスで出会った方に実際お寺へお参りしていただくための企画です。今年は2回目を開催し、着実に参加人数が増えていることを実感いたしました。ありがたいことです」(愛$菩薩さん)

何度も言いますが「たくさんの若者へ向けて仏教に興味を持っていただくきっかけになりたい」がアイドル活動の根源にある思いです。
そして、同時にご本人が楽しんでいるであろうテンションがライブ映像等からありありと伝わってくる。だから、我々も変に構えることなく「愛$菩薩」に触れることができます。即ち、それは仏教の一端に触れていることにもなる。
(寺西ジャジューカ)