【昭和の味】クリームソーダはなぜ廃れないのか
(c)Shin-Setsu

はじける緑色のソーダの上に浮かんだバニラアイスクリームにサクランボ。この往年の見た目は、インパクトが強く、誰もが懐かしさを感じるものである。

いまだに喫茶店などで見かけるこのクリームソーダ。よく考えると、なぜいまだに廃れないのか不思議なものだ。そこでクリームソーダの専門カフェや、クリームソーダを提供するホテルに、その真相を聞いてみた。

クリームソーダはなぜ廃れないのか?


【昭和の味】クリームソーダはなぜ廃れないのか
(c)金沢白鳥路 ホテル山楽

クリームソーダが長年人気の理由は、いまだにクリームソーダを提供している人に当たったほうが早い。そこでまずは、現在、期間限定で「金沢・大正レトロ3色の金箔クリームソーダ」を提供している金沢白鳥路ホテル山楽に、クリームソーダが廃れない理由を聞いてみた。

【昭和の味】クリームソーダはなぜ廃れないのか
「金沢・大正レトロ3色の金箔クリームソーダ」(c)金沢白鳥路 ホテル山楽

「日本のクリームソーダは、資生堂パーラーさんが1902年に日本で初めてのソーダ水を提供し、アイスクリームの製造と販売を行うソーダファウンテンとして誕生したのをきっかけに普及したといわれています。文明開化の頃の西洋文化が入ってきた最先端のお洒落なハイカラな飲み物として親しまれてきたという歴史があります。


また、あのソーダ水のシュワシュワとした清涼感と、アイスクリームの濃厚な甘みがマッチする独特の味わいは、男女問わず楽しめるものです。いまだに飲まれ続けている理由はこれらのことにあるのではないかと思います」

クリームソーダは、ハイカラなお洒落さがある。また、クリームソーダそのものの独特な味わいも魅力としては申し分ないというわけだ。

他にも、金沢白鳥路ホテル山楽のスタッフからは、クリームソーダが廃れない理由として、次のような意見も挙がったという。

・幼少期にレストラン等で見た食品サンプルのインパクトが強く、印象に残っている。
・懐かしく、昭和を思い出す。

・アイスクリームにスペシャル感を感じる。
・お子様から大人まで誰からも好まれる。(万人受けする)
・緑色に清涼感がある。

インパクトの強さやソーダの緑色などの独特な個性だけでなく、「スペシャル感」と「懐かしさ」もキーワードとなりそうだ。

「子どもにも飲ませたい大人の想い」も理由か


【昭和の味】クリームソーダはなぜ廃れないのか
(c)Shin-Setsu

クリームソーダの魅力が複数挙がる中、さらにクリームソーダが廃れない深い理由が浮かび上がってきた。

京都でクリームソーダカフェを営む「Shin-Setsu」では、現在、24種類ものクリームソーダが提供されている。まさしく、いまだにクリームソーダを愛する人々がこぞって通うカフェである。


このShin-Setsuのオーナーである小森圭視さんなら、クリームソーダが廃れない理由として何か有力なものが得られるかもしれないと思い、聞いてみた。

「自分の子ども時代には、クリームソーダというのは家族で街に出かけたときなど、特別なときにだけ飲めたものでした。少しご褒美的で、“プチ贅沢な飲み物”として位置づけられていたんです。大人になった今でも、懐かしい気持ちにさせてくれ、郷愁感のあるレトロな飲み物だと思っています。

そんな幼少時代にクリームソーダに親しんだ大人たちが、子ども世代に『クリームソーダを飲ませてあげたい!』『少し贅沢させてあげたい!』という気持ちが、クリームソーダを廃れさせないのではないでしょうか。子どもたちが笑顔でクリームソーダを飲む姿に、大人たちも幸せな気持ちになる。
そんな飲み物だから、いまだに支持されているのかもしれません」

小森さんがクリームソーダカフェをオープンした際にも、この気持ちがベースにあったという。そして、今の時代に合うよう24種類ものカラフルな色とテイストで、可愛くレトロポップなフォルムにこだわっているのだそうだ。

さすがクリームソーダ専門店だけあって、なかなか深い読みである。


「クリームソーダが廃れない理由」まとめ


●オシャレでハイカラなイメージ・見た目のインパクトの強さ。

●ソーダ水のシュワシュワとした清涼感と、アイスクリームの濃厚な甘みがマッチする、老若男女問わず楽しめる味。

●アイスクリームの乗ったスペシャル感、特別な日だけの飲み物。


●懐かしい郷愁漂うレトロな飲み物・子どもにも飲ませたい大人たちの願い。

「クリームソーダ」という飲み物そのもののインパクトと味わいの個性がベースとなり、子どもの頃飲んだ「特別感」「プチ贅沢さ」と共に湧き起こる懐かしさ。そして、子ども世代にも飲ませてあげたいという想い。これらがクリームソーダを廃れさせない理由となった。

クリームソーダは、まだ日本中の喫茶店メニューの片隅にひっそりと残っている。大人のための飲み物なのかもしれない。
たまにはクリームソーダを注文し、懐かしいひとときを過ごしてみてもいいかもしれない。
(石原亜香利)

取材協力
●金沢白鳥路 ホテル山楽
http://www.sanraku.premierhotel-group.com/kanazawa/

●Shin-Setsu
https://www.facebook.com/Shin-Setsu-259252897476858/