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『フランス人は10着しか服を持たない』は本当か【フランス人すごい本を検証】

2017年6月7日 07時45分 ライター情報:加藤亨延
近年、フランス人のライフスタイルを紹介する書籍が何冊も刊行されています。タイトルを見ると、「年をとるほど美しい」「太らない」「夜泣きをしない」などなど。暮らしの参考になる点がたくさんあるようですが、SNSなどでは「フランス人に幻想を抱きすぎでは?」という声もあります。そこで、『地球の歩き方』特派員でパリ在住のジャーナリスト・加藤亨延さんに「フランス人すごい本」を検証してもらいました。

  * * *

フランス本ブームの火付け役と言っていいだろう。ジェニファー・L・スコット著『フランス人は10着しか服を持たない』は、2014年に邦訳が出版されると、タイトルのインパクトも手伝って日本でも大きな反響を呼んだ。

同書は典型的なカリフォリニアガールだった著者がパリへ留学し、保守ブルジョワ地区であるパリ市内16区に居を構える、出自が貴族というフランス人家庭で半年間ホームステイした体験を中心に語られる。その一家の暮らしぶり(主に奥方であるマダム・シックの生活作法)をヒントに、著者の今まで緩んでいた生活態度の改善と、読者に対する同様の啓蒙を盛り込んだライフスタイル指南本となっている。

「フランス人は10着しか服を持たない」という邦題は、その生活改善方法の形容に過ぎず、副題である「パリで学んだ“暮らしの質”を高める秘訣」が本旨である。原題は「Lessons from MADAME CHIC(マダム・シックからの教え)」であり、邦訳の副題がこれに近い。

本書ではフランスに憧れを持つアメリカ人のフィルターを通した、かくも素晴らしきパリおよびフランス人が展開されているが、果たして現実は同じなのか。検証してみよう。


著者の体験は果たしてフランスの主流か


まず著者がホームステイしたという貴族の子孫だというマダム・シックの家庭について、これは現在のフランスをどれくらい表しているのだろうか。フランスの旧貴族(現在のフランスでは法律上、貴族は存在しない)メンバーで構成されるフランス貴族互助協会によれば、現在のフランスにおける貴族の末裔は、全人口に対して0.2%だ。

つまり著者の体験は、フランス社会の中でもかなり少数派の部類に入る。よって本書の内容について「そんなわけない」と読者からツッコミが入っても当然だ。そもそも著者が体験した環境が例外的なのだ。

たとえば、マダム・シックの家では一切間食はせず、1日3食の食事をとても大切にしている。食材の買い出しは毎日マダムが行い、購入場所もスーパーマーケットではなく、食材ごとに個人商店を巡る。朝はムッシュ・シック(マダムの夫)が起きる前にマダムが朝食を用意し、夜は毎回手作りした目を見張るようなごちそうがテーブルに並ぶ。マダムの家はオープンキッチンではなく、台所が他の部屋と離れている昔ながらのフランスの間取りで(ダイニングとも離れている)、朝食はキッチンでとるものの、夕食は必ずダイニングで食べると言う。

さて、実際はどうだろうか。フランス国立統計経済研究所(INSEE)によれば、フランス人が食品の買い物に費やす時間は平均して週2時間41分、1日あたり23分という数字が出ている。よって毎日、マダム・シックほど食材の買い出しに時間をかけてはいない。フランスでは共働き家庭が多く(マダム・シックもパートタイムで働いてはいるが)、近年日本に進出した冷凍食品専門店ピカールのような、冷凍食品が重宝されている。冷凍食品企業組合によれば、2016年の1家族あたりの冷凍食品に費やされた額は、乳製品に次いで2番目に多い。また英調査会社ユーガブによれば、フランス人の3分の1はダイニングのテーブルやキッチンで食事をとらない(テレビの前、居間の低いテーブル、ソファーの上、パソコンの前、ベッド上など)という結果が出ている。

以上を比べても、いかにマダム・シックの家がフランスの中でも例外的かはわかる。その中で読者がもっとも気になる項目が、タイトルになった「フランス人は10着しか服を持たない」だろう。

ライター情報: 加藤亨延

ジャーナリスト。日本メディアに海外事情を寄稿。主な取材テーマは比較文化、および社会、政治。取材等での渡航国数は約60カ国。ロンドンでの生活を経て現在パリ在住。『地球の歩き方』フランス/パリ特派員ブログ

URL:http://tokuhain.arukikata.co.jp/paris/

コメント 11

  • 匿名さん 通報

    要するに『フランス(フランス人)』に対する憧れと欧米コンプレックスにバイアスをかけちゃうんだよね…。

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  • 匿名さん 通報

    この本の全ての文章の語尾に「ざぁます」を付けてみてはどうだろうか。 あとフランスという単語は全て「おフランス」に置換する。 これでかなり雰囲気が出ると思う。色々な意味で。

    11
  • 匿名さん 通報

    アメリカで暮らしていますが。まぁせめて、食べ物だけ、食べ物に対する考え方だけは、ヨーロッパに学ぶべきと感じます(添加物はひどい)。

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  • 匿名さん 通報

    いえいえアメリカ人の声は大きいですよ。日本にいてもフランスにいてもね。パリでバスに乗っていた私の母が、大声で話すアメリカ人の英語を聞いて「耳障りな言葉だね〜」だとさ。

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  • 匿名さん 通報

    (続き)このデータソースが「英国の」調査会社というオチは、何かの冗談でしょうか?ちなみに私は、フランスの地方小都市在住です。

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