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ダメ!絶対!ドラッグムービー「キンプラ」を観てを観て意識の階梯をのぼろう

2017年7月15日 13時30分
ライター・編集者の飯田一史さんとSF・文芸評論家の藤田直哉さんによる、話題の作品をランダムに取り上げて時評する文化放談。今回は『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』について語り合います。

極彩色の虹が見える……!


「KING OF PRISM -PRIDE the HERO-」ウェブサイトよりキャプチャ

飯田 菱田正和監督によるアニメーション映画『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』(通称『キンプラ』)は女児向けTVアニメ『プリティーリズム・レインボーライブ』(2013年~2014年放映)に登場する男子プリズムスター(歌とダンスとフィギュアスケートを融合させたような競技「プリズムショー」のスター)であるヒロ、コウジ、カヅキによるユニットOver The Rainbow(オバレ)のその後を描いたスピンオフ作品である映画『KING OF PRISM by PrettyRhythm』(『キンプリ』)の続編(二部作の完結編)ですね。
 前作は、劇場にペンライトとかを持ち込んで歌ったり叫んだりキャラクターとコールアンドレスポンスしたりアフレコして(客がアフレコできるシーンが作中にある)OKという「応援上映」スタイルを全国的に知らしめた作品になり、非常に話題を呼びました。
 今回も応援上映、盛り上がってますね。

藤田 男性のイケメンアイドルたちが歌って戦うアニメですね。

飯田 菱田正和監督いわく「アイドルではない」そうです(「ユリイカ」2016年9月臨時増刊号総特集アイドルアニメを参照)。プリズムスターはアスリートに近い。ストーリー的にも泥臭いスポ根(+ドロドロな昼メロ的愛憎劇)ですからね、基本は。
 もともと仲がよかったヒロとコウジが、コウジの曲「pride」をヒロが自分の名義の曲にして奪ってひとりでデビューしたことで決裂、その後、カヅキの働きなどがあって紆余曲折の末に和解してやっとオバレを結成(TVシリーズ『レインボーライブ』)したのに、前作『キンプリ』ではコウジがハリウッドデビューするためにヒロの元を去るという衝撃展開をして、さてどうなる!? というのが本作ですね。サブタイトルに『PRIDE the HERO』とあるように、幹になっているのはヒロの話であり、「pride」という因縁の曲をめぐる物語です。
 そしてメインタイトルである「KING OF PRISM」の名の通り、プリズムキングカップの頂点に立つのは誰か? という争いを描いていく。

藤田 ぼくは応援上映の回を観に行ったのですが、女性たちが歓声を上げるわ、サイリウム振るわ、スクリーンと会話するわで、実に楽しそうでした。応援アリで見たほうが楽しかったですね。映画泥棒のダンスの時点で既にサイリウム振ってたのは面白かったですがw

『キンプラ』は観客を変性意識状態にいざなうヴィデオドラッグである


飯田 応援上映がすごいことがよく語られているんですが、本編がそもそもぶっ飛んでいるから、観客もネジがはずれていく。

藤田 TVシリーズは観ていないんですが、全然面白かったです。前半のライバルとの因縁や修行のシーンも、キャラクターの個性を理解させつつも、モタモタしないで、サクッと処理するスピード感もよかった。もはや「記号」で「わかるでしょ?」と圧縮してる感じで。想像以上に面白かった。女性向けの恋愛パートや裸を出すシーンとかは、ぼくは想定されているお客さんではないんだと思うんですが、ぶっとんだ演出が笑えて派手で面白かったです。
 歌って踊ってスケートのジャンプみたいなのしたら、ジョジョのスタンドみたいな超能力が発動して、スタジアムが壊れたり、作り直されたり、物理法則がどうなっているのか分からないw エヴァ旧劇場版のような、地球スケールにまで演出が広がっていくのは、楽しかったですね。
 歌っている人の「かがやき」が、観客にとって「人間」の形に見えているから、舞台に複数いるように見える……とか、「スタンドかよ」ってツッコんでしまいそうになりました。万能すぎますね、かがやき。

飯田 観客はノンドラッグでティモシー・リアリーとかオルダス・ハクスリー的な境地に連れて行かれているのでしょう。意識の拡張が起こっている。
 菱田監督は富野由悠季監督、というかファーストガンダムがあまりに好きで就活でサンライズを記念受験したら受かってしまってアニメ業界に入った方なので(キンプリはタツノコプロ制作の作品です。念のため)、競技者の精神力と動きの激しさがそのままリアルワールドに及ぶようなプリズムショーの世界は、ニュータイプの脳内を表現したようなものだと個人的には思っています。ララァとアムロが波がざばーんとする中を飛んでるのと同じ状態が「プリズムの輝き」というやつなのではないかと。刻が見えてる人たちの世界。

藤田 ジョジョにおける「波紋」に相当していますね >「かがやき」

飯田 前作『キンプリ』を見たときに、これは『イデオン発動編』だと思ったんですよね。サイケデリック・ムービーであり精神世界系アニメであると。

藤田 サイケデリックでしたねぇ。バトルシーンは、ヴィデオドラッグとか、VJとか、ソーシャルゲームの画面とか、そっち方面の文法ですね。視覚的にキラキラさせて、音と映像で脳を酔わせていく。そのせいで、既存の映像作品とは異なる文法に踏み込んでいて、これはすごいなと思いました。現代の前衛映画みたいですよ。
 行き過ぎてて笑いそうになるギリギリ(というか、ぼくは笑ってたけど、応援している人は笑ってなかった)の演出が実にいいですね。大袈裟でやりすぎていて……しかも「メタです」的な鼻につく感じもなくて。

飯田 前作のBlu-rayでのオーディオコメンタリーでも、菱田監督以外の人がぶっ飛んだ演出を観て笑うと監督は何回も「笑うところじゃないですよ!」って言ってましたからね。
 前作でオバレが古代ギリシア人(というかギリシャ神話?)っぽい格好してましたけど、神話なんですよ。あれは神々の闘争なので、踊りで闘技場が壊れても当たり前なのです。

藤田 爆発して崩れてたのに怪我人や死人が出てなさそうなのにも驚きましたよw

飯田 それはきっとカヅキのおかげでしょう!!!
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コメント 1

  • 匿名さん 通報

    異方存在がいなくても、日本人はKING OF PRISMで意識を変革させられるね!! という理解で正しいですか?

    0
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