中国の大手ポータルサイト「新浪網」は8日、中国が開発したターボファンエンジンの「WS-10(渦扇-10)」には“心臓病”とも言える問題があり、艦上戦闘機の「J-15」も同エンジンを使ったのでは、空母搭載機としてまともに使えないとの見方を示した。

 艦載機の場合、離着艦をはじめとして機体やエンジンは「過酷な使われ方」をする。
塩分による腐食にも対応せねばならない。「J-15」に搭載可能な中国国産エンジンにはWS-10があるが、空母艦載機用として「任に堪える」エンジンは、ロシア製の「Al31F」しかないという。

 最近では中国の軍備増強や武器開発のテンポアップが注目されているが、少なくとも戦闘機分野では「背伸び」が目立つ。代表例が「J-11」シリーズだ。最初はロシアから「Su-27」を輸入。次に同機の国内ライセンス生産を始め、「J-11(J-11A)」とした。


 中国は続けて、ロシアの同意を得ずにJ-11を改良して「J-11B」を開発した。その後もJ-15を含め、さまざまな派生型を登場させた。しかし、エンジン開発が大難航。なんとかWS-10の実用化にこぎつけたが、性能や信頼性での問題が大きいとされる。

 新浪網は「J-11」シリーズの開発について「ロシア側と契約履行上のトラブルが発生」と紹介。ロシアは、自国内で生産して中国に輸出したSu-27、Su-30など、さらに契約にもとづいて中国国内でライセンス生産されたJ-11Aに搭載するエンジンは供給するが、中国が開発したJ-11Bなどに用いるエンジンの輸出は拒絶。


 そのため、J-15に搭載されるAl31Fは、中国国内で「やりくり」して調達されたものという。

 新浪網は、現在のJ-15用のエンジン確保について「持続可能な方法ではない」と指摘。逆に、「もしも近い将来、WS-10を使用したJ-15が大量に遼寧艦上で使用されることになれば、WS-10の“心臓病は基本的に治癒”したことを意味する」、「そうすれば、WS-10を使う他の戦闘機、例えばJ-11B、J-16の実戦能力も、本質的に向上したことになる」と主張した。

 記事は自国によるエンジン開発について希望的観測を論じたが、実際には「現在のWS-10には“心臓病”がある」と認めたことになる。(編集担当:如月隼人)(写真は動画とともに掲載された上記記事頁キャプチャー)


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