5月11日から大相撲の夏場所が開催されているが、その前月4月に行われた慶應幼稚舎(以下、慶應)の入学式でのこと。笑顔あふれる保護者の中に、ひときわ目を引く大柄な男性がいた。

「横綱の白鵬でした。長女が合格したそうで、ご夫婦そろってうれしそうに参加されていましたよ。2メートル近い巨漢の登場に、周囲から歓声も上がってました」(出席した保護者の一人)

 慶應といえば、言わずと知れた私立小学校お受験界の最高峰。慶應受験専門の幼児教育学校が多数存在するほどで、入学は極めて狭き門である。

「一般に、定員の6~7割がコネや卒業生を親族に持つ子どもで埋まるといわれています。特に政財界の子息が多く、有名人とはいえ、スポーツ選手や芸能人の子どもにはハードルが高いとされています」(教育コンサルタント)

 そんな背景もあってか、現役横綱の長女の入学は、お受験界ではちょっとした驚きをもって受け止められているという。

「数年前、元プロ野球選手・清原和博さんの2人の息子が相次いで合格。その意外性とともに、カリスマモデルとしても活躍する夫人の子育てに注目が集まるなど、大きな話題になりました。一方で、OBやいわゆる慶應閥の人からは『慶應も俗化した』といった批判の声もあるので、今回の白鵬の長女入学には心穏やかでない人たちもいるのではないでしょうか」(同)

●教育熱心な白鵬夫人の功績

 確かに、八百長問題などの不祥事に揺れる相撲界のイメージは、お世辞にもよくない。公益法人移行の混乱なども相まり、人気低迷が叫ばれる中、“サラブレッド”のイメージが強い慶應カラーにそぐわないと見る向きもある。

 だが一方で、外国人横綱でありながら角界をひとりで引っ張ってきた白鵬の誠実な人柄はよく知られており、国際化時代の象徴として慶應が子弟を受け入れるのは当然、という声もある。もっとも、こうした外野の声とは関係なく、当の白鵬はお受験にはそう積極的でなかったらしい。

「白鵬本人は自然豊かなモンゴルで育ったこともあり、子どもには伸び伸びと育ってほしいという感じで、学歴などにこだわりはありませんでした。ただ、奥さんは学習院大学卒で教育熱心。将来を見据えて、学歴や人脈を培って選択肢を増やしてあげたいと考えていたようです」(角界関係者)
 
 ちなみに、慶應の女子入学者数は48名のため、お受験ママの間で慶應入学者はAKB48をもじりKIO48と呼ばれている。いずれにしろ、横綱の娘がお受験界の最高位に上り詰めたといえよう。
(文=編集部)