4月17日に都内で挙式を行ったお笑いタレント・川島章良(はんにゃ)。川島は、4日に放送されたバラエティ番組『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)で、2014年11月に腎臓がんと診断されて手術を受けていたことを明らかにした。



 その後、15年2月に現在の妻と入籍、今年1月の再検査でがんが再発していなかったことから、晴れて挙式を行ったという。

 また、7日放送の『ヨソで言わんとい亭~ココだけの話が聞けるマル秘料亭~』(テレビ東京系)では、俳優でタレントの小西博之も以前に末期の腎臓がんで手術したことを告白した。小西は腫瘍があまりに巨大だったため、医師に「生存率2%」と告げられたが、手術を経て回復、現在は完治しているという。

 川島は32歳、小西は45歳で罹患した腎臓がんとはどんな病気で、どんな点に気をつけるべきなのか。新潟大学名誉教授の岡田正彦氏に聞いた。

「がんで死亡する日本人のうち、男性で3%、女性で2%ほどが腎臓がんによるものです。
日本や韓国では最近、増加傾向にあり、生活習慣や環境の変化が発生に影響していることをうかがわせます。

 また、腎臓がんについての大規模な追跡調査(JACC Study)が国内で行われ、血圧の高い人ほどかかりやすく、血圧が正常な人に比べて罹患率が平均4.27倍になることがわかっています。

 また、糖尿病がある人はそうでない人に比べて2.59倍、BMI(肥満指数)が26以上の肥満の人は1.7倍も腎臓がんになりやすいようです。逆に、毎日60分以上歩いている人や、適量のお酒を飲んでいる人は腎臓がんになりにくいこともわかりました」(岡田氏)

●おなかの痛みやしこり、血尿には要注意

 高血圧や肥満の人は、特に注意が必要なようだ。では、なぜ血圧や飲酒量が関係してくるのだろうか。

「高血圧との関係性は、血圧が上がることで腎臓の細胞になんらかのストレスが絶えずかかり、(がんの原因となる)『フリーラジカル』を発生させているためだと思われます。
腎臓は血圧を調整する臓器でもあるため、特にその変化に敏感なのかもしれません。

 ほどほどのお酒ががんの予防に役立つメカニズムも、ある程度わかっています。私の研究グループで行った調査でも、毎日適度にお酒を飲んでいる人は、インスリンというホルモンの効き目が高まり、糖尿病になりにくく、同時にインスリンの分泌量が減少していることがわかりました。

 インスリンは細胞分裂を促す作用もあるため、その分泌量が減ることで、がんになりにくくなるというわけです。ただし、なぜ腎臓と関係しているのかは、今のところ不明です。

 腎臓がんの症状は、おなかの痛みやしこり、血尿などですが、健康診断のエコー検査などで見つかることも多くなっています。


 治療で注目されているのは、ロボット手術です。といっても『鉄腕アトム』のようなものではなく、皮膚に開けた小さな穴から手術器具を挿入し、医師が三次元画像を見ながら遠隔操作するというものです。

 微細な血管などを拡大して見ることができるため、人間の手ではできないミリ単位の操作が可能なのです。4月からは健康保険もきくようになり、普及が加速するものと思われます」(同)

 死亡率は低いとはいえ、腎臓がんを遠ざけるためにも、適度な運動や飲酒を心がけたほうがよさそうだ。
(文=編集部)