大ヒット中の映画『君の名は。』の主人公・宮水三葉が住む家は、少し古さが目立つ和洋折衷の木造建築。

映画を観て、糸守町という自然豊かな環境の中に佇むあのような家に、一度でいいから住んでみたいと思った人もいるはずです。

アニメ、実写に限らず、映画の中に出てくる家は魅力ある物件が多く感じますが、実際はどうなのでしょう。それを確かめる一つの方法が、物件を間取り図にして見てみるというもの。

例えば、2008年公開の『セックス・アンド・ザ・シティ』に出てくるキャリー・ブラッドショーが住むアパートは、中央にある大きなキッチンと何十着もの服と靴を収納できる大きなクローゼットが特徴的な2DKです。

さすがコラムニスト。部屋中に本や雑誌が置かれており、恋と仕事に生きるキャリーの生活がそのまま間取り図に映し出されています。

まさに「都会で生きる女」が生活する場所としてはピッタリ。

しかし、ニューヨークのアッパーイーストサイドという大都会のど真ん中というだけあり、家賃はなんと3200ドル(日本円で約33万円)。「ここに住むとどれだけ金がかかるんだろう」と思ってしまったら負けなのかもしれません。

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『映画の間取り』(扶桑社刊)は、WOWOWが提供していたアプリ「映画の間取り」を書籍化した一冊。一級建築士が監修した名作映画40作に登場する建築物の間取りと、不動産的視点による「買い」ポイントがつづられています。

■ニューヨークに2LDKの一戸建て!

2002年に公開された映画『スパイダーマン』の主人公、ピーター・パーカーはニューヨーク州クイーンズの高級住宅地、フォレスト・ヒルズの家に住んでいます。

周囲には似たような家が建ち並んでいて、おそらく分譲住宅地と思われます。そんなピーターの家を間取り図にしてみると、2LDKのコンパクトな庭付き一戸建てという全貌が明らかになり、彼の普段の生活全体を見渡すことができるようになります。

2階奥のピーターの部屋は、二面に窓があり、机に向かいながら左をのぞくと、隣の家に住んでいる女の子(MJ)の部屋を見ることができます。実際にピーターの恋心が物語の大きな軸になることを考えれば、よくできている間取りですよね。

■人工知能との生活は楽しくなるだろうか?

もう一つ、『映画の間取り』から気になる物件をご紹介します。それは人工知能が執事をしてくれる大邸宅です。

これは2013年公開の『アイアンマン3』の主人公、トニー・スタークが暮らしていた大邸宅の一部。

立地はハリウッドのスーパースターたちが居を構えるカリフォルニア州マリブ。ピアノが置かれたステージに、サウナ付きスポーツジムも目を引きますが、この物件の一番のポイントは、最新鋭の人工知能「J.A.R.V.I.S.(ジャーヴィス)」です。

ジャーヴィスは邸宅の警備からあらゆる調査・計算、さらには執事的な役割までこなしてくれるスタークの「右腕」的存在。こんな家に住めたら、生活がグッと楽になるはずです。

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映画の中に出てくる家に住む…。

現実にはできなくても、想像はできます。そしてその想像を補ってくれるのが「間取り図」です。

『魔女の宅急便』でキキが下宿していた風車小屋から、『テルマエ・ロマエ』で出てきたハドリアヌス帝別荘の個人風呂、さらにはアジトや独居房など、あっと驚く「特殊物件」まで間取り図にしてしまった本書は、その映画を見たことがなくても楽します。

また、自分の家のレイアウトの参考にすることで、映画の中の世界に似せることも可能。さまざまな使い方ができそうです。

(新刊JP編集部)