SCANDAL ドキュメンタリー映画が公開。問題シーンを収録した訳 /インタビュー

■Single『Sisters』&映画『SCANDAL“Documentary film「HELLO WORLD」”』インタビュー(1/2)

「自分たちとすごく向き合えたワールドツアーでした」

SCANDAL初のワールドツアーから、海外8ヶ国10公演に完全密着したドキュメント映画『SCANDAL “Documentary film「HELLO WORLD」”』が完成した。10月17日から全国の映画館で公開されるこの作品は、単に海外で行なってきたライブの模様をお届けするものではなく、日本という国で、SCANDALというバンドをやっている、4人のガールズの素顔に迫ったロードムービーだ。
ただでさえストレスも溜まるであろう海外の、しかも初めてのワンマンツアーで、なぜ彼女たちはカメラを回そうと思ったのか。このワールドツアーを通して生まれて来た新曲「Sisters」に込められた想い、また、映画のエンディングで流れる楽曲「ちいさなほのお」についても訊いた。
(取材・文/山田邦子)

感情表現、下手クソやなって思いました(笑)

――海外8ヶ国10公演に密着したドキュメント映画『SCANDAL “Documentary film「HELLO WORLD」”』がいよいよ公開になりますね。「こんなところまで映すんだ!」という驚きもかなりありましたが、そもそもどうしてカメラを入れようと思ったんですか?

RINA:映画にしようと決めたのは、私たち4人なんです。ワールドツアーという形で海外まわったのは今回が初やったけど、インディーズの時から毎年海外でライブして来てるんですね。今までって、日本での活動の拍付けとか、せっかく毎年やってきたから途切れさせたくないっていう想い、あとはお客さんがいてくれるから行かなきゃって思いが強かったけど、「何で海外でライブしてるんだろう?」っていうのをちゃんと見つけたかったんですよ。密着してもらってる間に見つけたかったし、見つけた瞬間も撮っていてほしかったから、とにかくずっとカメラを回しててくださいって、こっちからお願いしました。

――実際に完成したものを観てどうでした?

HARUNA:自分のことをこんな形で客観的に観たのは初めてに近くて。今まで、アジアツアーの様子が特典DVDになってたりはするけど、それは完成形が想像出来てたものなので、ファニーな部分も含めて見せるっていう心持ちで撮ってたんですね。でも今回はすごく自然体で。普通に生活している様子を録られていたので、自分が普段感じてる自分とは違うものを見てしまったような、すごくへんな感覚でもありました。

TOMOMI:普段から思ったり感じたりしてることはいっぱいあるし、それを普通に口に出してるつもりだったけど、意外と喋ってなかった。
感情表現、下手クソやなって思いました(笑)。きっと頭の中で、自分だけで喋ってたんですよね。たくさんのもの吸収したはずなのに、言葉で表現出来てない。「なんでこんなに気持ち伝えてないんやろ!」っていうのが第一印象。

――じゃあ劇場で、生で副音声付けるっていうのはどうですか(笑)。

TOMOMI:気持ちはそうしたいくらい(笑)。

MAMI:全然集中出来ないよ(笑)。ちなみに僕は、もっと撮ってもらっていればよかったって思うシーンがめっちゃありました。ずっと回って入るんだけど、「これはカメラの前で言わない方がいいな」とか、無意識に避けちゃってたところがあるんですよ。だから見返すと、「このシーンであの言葉があったら、もっと伝わるのにな」とか思った。自分からもっとカメラに向かって喋らないといけなかったなって、すごく思いましたね。

――メキシコで問題が起きた時のシーンなどですか?

MAMI:そうそう。
すごく断片的になってるけど、あれはもっと前後があったんです。でもそこで、僕がカメラを避けちゃったんですよね。

HARUNA:あそこは、使うかどうかギリギリまで悩んだんです。ああいうシーンって、見る人にとっても自分たちにとっても刺激が強いものだと思うので。今回は編集にも立ち会ったんですけど、ああいうシーンを入れるのであればそれについてちゃんと解決しておく必要があるし、もっと4人で話し合う必要があったので、今後のSCANDALがどういう風に音楽をやっていくか、どういう風に向き合っていくかについてなどいろいろと話をしたりしたんですよ。ああいうことを繰り返さないようにするためにも、ちゃんと解決して、映像に残しておこうっていう結果になりました。こうやって映像を撮ってなかったら、気付かなかったこともいっぱいあったんだろうなって思いましたね。

――でも、バンドってこうやって進んで行くんだなっていうのが伝わるシーンでもありますよね。ライブ映像がメインで、オフショットもあるよ的な見せ方とは間逆の映画ですし、SCANDALのことを知らない人が見ても惹き付けられる内容になっているのは、ちゃんと日常が記録されてるからだなと思いました。

RINA:うん。海外でのライブ映像が見られる映画にしたいわけじゃなくて、生活の中にライブがある。生活の一部としてっていう映し方をしたかったから。


HARUNA:純粋に、バンドのロードムービーとして楽しんでもらえたらいいなっていうのが一番だしね。

――泣く泣くお蔵入りしたシーンなんかもあるんでしょうね。

RINA:いっぱいありますよ。たとえば楽屋で会話が弾んでるいいシーンがあったんですけど、今回のドキュメンタリーにはトゥーマッチかなって漏れたところが、(9月に発売されたシングル)『Sisters』の初回限定特典映像の「Another Story」なんです。

HARUNA:さすがに20分以上しりとりしてるシーンを映画には出来ませんからね(笑)。

TOMOMI:あれは見てほしい(笑)。

RINA:でも、あの話のあとにこういうライブをしたんだとか、このライブの後にこういう雰囲気だったんだっていうのがリンクするから、照らし合わせてみると面白いなと思いますよ。

SCANDAL ドキュメンタリー映画が公開。問題シーンを収録した訳 /インタビュー


この映画のために書き下ろしたみたいな曲になってたのが不思議

――『Sisters』、カップリングの「LIFE IS A JOURNEY」という曲自体もそうでした。映画を観た後に聴くと、曲がもっと近くに感じられたというか。

HARUNA:うん、そうですね。このツアーをやりながら、音楽をやることってすごく自由なんだなってことにあらためて気付いたんですよ。正解とか不正解はないんだなということを思いながらツアー出来てたことはすごく大きかった。
だからこそ「Stamp!」も出来たし、「Sisters」も出来たんです。曲調は違うけど、両方自分たちの軸にあるもの。歌詞は昔から伝えて来たようなことだけど、よりポジティブに、そしてリラックスして伝えられてるかなって気がしています。

――歌詞はRINAさんですね。

RINA:今、ヨーロッパの映画を見るのがブームで、『ひなぎく』という作品が特に好きなんですね。ファッションとかもすごく素敵なんだけど、時代背景を見てみると、公開された1966年は冷戦真っただ中。そういう時代に女性が自由に生きるって、ものすごく強いなと思ったんです。自由に生きることで、女子達は反撃してたんだなって思った。でも今は、そんな時代に比べたら自由度も増してるし、選択肢も権利も多く与えられてるのに、全然活用しきれてない。それってもったいないなと思ったんです。もっと好きなように、自由に生きたいなと思ったこの気持ちを曲にして、みんなに聴いてもらいたいと思ったんです。

MAMI:アメリカでCNNの取材を受けたんですけど、世界的には今EDMという音楽が流行ってるけど、ロックバンド・SCANDALはそことどうやって戦っていくかという質問をされたんですね。
でも、私たちは戦うつもりなんてないし、むしろEDMも好き。もともとダンスミュージックを聴いて踊ってた人間ですからね。この曲では、その答えが体現出来たかなと思ってるんです。「Sisters」はダンスサウンドとバンドサウンドのミックスなんですが、自分たちのルーツのひとつでもあるそのダンスミュージックを、今一度バンドで、そして今の自分たちで表現した曲。こうしてひとつの“形”として提示出来たことはすごくよかったなと思ってます。

――「LIFE IS A JOURNEY」も同時期ですか?

TOMOMI:デモの途中段階まではちょっと前に出来てたんですけど、サビもないし、しばらく放ったらかしてたんです。でもワールドツアーに出て「LIFE IS A JOURNEY」という言葉が浮かんで来たので、これだなと。ほとんど遊びみたいに作った曲だけど、みんなでスタジオに入りながらアレンジも詰めていったので、生々しさというか、裸の自分たちを楽しんでもらえる曲かなと思いますね。

――自分らしく生きていくこと、そして生命力のようなものが共通している2曲だなと思ったのですが、映画のエンディングで流れる「ちいさなほのお」にも、命と向き合う姿勢がありましたね。

RINA:あの曲は昨年の年末に書きました。私は、生きてることやいつか死んじゃうということを、バンドやり始めてから考えるようになったんです。でもそれって自分の生き方だなとも思っていて。
迷ったり悩んだりした時に、いつか死んじゃうと思ったら、頑張って乗り越えようとか好きなようにやっておこうって、究極だけどそうやってチョイスしながら生きて来たんですね。そういうものを吐き出せた曲だなと思っているんです。迷ったりつまづいたりしてる人をちゃんと救いたい、そういう強くて優しい曲が歌えたらなというのもあって書きました。

――アルバム『HELLO WORLD』の曲を作ってた頃だったのに、この曲を入れなかったのはどうしてだったんですか?

RINA:「HELLO WORLD」は、ある意味ものすごく生活感のあるアルバムだと思うんです。しかも、生きてること考えずに生きてる人の歌ばかり。主人公の生き方の違いがあまりにもあり過ぎるからかな? もしこの映画がなかったら、自分のパソコンの中に眠ることになってたかもしれないけど、それでも曲にしたいという気持ちが強くあった曲なんです。

――映画の最後にこの曲を聴くことで、ちゃんとあの旅に句読点の「。」が付いたような気がしました。

HARUNA:なるほど!

RINA:この映画のために書き下ろしたみたいな曲になってたのが不思議だなと思いました。改めて、すごく、自分たちと向き合えたツアーだったんだなっていうことを感じましたね。

MAMI:うん。もちろんいろんな人に見てもらいたいけど、SCANDALを全く知らない人とか、普段こういう音楽を聴かない人にも見てもらいたい。単純に楽しんでもらえると思いますよ。

TOMOMI:ぜひ観てみてください!

――インタビュー2へ


≪リリース情報≫
Single
『Sisters』
2015.09.09リリース

【初回生産限定盤】(CD+DVD)
ESCL-4506~7 / ¥1,528(税抜)
【通常盤】(CD)
ESCL-4508 / ¥972(税抜)
SCANDAL ドキュメンタリー映画が公開。問題シーンを収録した訳 /インタビュー
Sisters【通常盤】


[収録曲]
1. Sisters
2. LIFE IS A JOURNEY
3. Sisters (Instrumental)
<DVD> ※初回生産限定盤のみ収録
SCANDAL“Documentary film「HELLO WORLD」” Another stories

≪映画情報≫
『SCANDAL“Documentary film「HELLO WORLD」”』
公開日:10月17日(土)
会場:ユナイテッド・シネマほか、全国の映画館にて期間限定公開

≪ライブ情報≫
【SCANDAL ARENA TOUR 2015-2016 『PERFECT WORLD』】
日程:2015.12.09(水)
会場:神戸ワールド記念ホール(兵庫県)
開場/開演:18:00 / 19:00
問合せ先:SOUND CREATOR 06-6357-4400

日程:2015.12.23(水)
会場:日本ガイシホール(愛知県)
開場/開演:17:00 / 18:00
問合せ先:サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

日程:2016.01.12(火)
会場:日本武道館(東京都)
開場/開演:18:00 / 19:00
問合せ先:HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999

日程:2016.01.13(水)
会場:日本武道館(東京都)
開場/開演:18:00 / 19:00
問合せ先:HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999

≪関連リンク≫
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