直木賞作家、江國香織の小説『思いわずらうことなく愉しく生きよ』が原作となっているこのドラマで、真木は三姉妹の次女、イベント会社のプランナーである治子を演じている。
同棲相手のカメラマン熊木(チュートリアル・徳井義実)を空港で見送るシーンから始まる第一話は、冒頭から真木が推定Gカップの胸を揺らしながら歩く姿を前方から撮影しており、嫌でもその胸に目が釘付けになってしまう。そして、同棲相手不在の時期にスポーツクラブで汗を流しているところを偶然にも元カレに遭遇し、そのままホテルへ。「もう一度、治子のこと抱きたいな」と口説く元カレに対し、「いっぺんだけ? いっぺんだけだったらいいよ」とアッサリOKしてしまう奔放さである。風呂でシャワーを出しっぱなしにしながらのキスシーンが、バスルームのすりガラス越しにシルエットで映され、コトが終わった後のピロートークでも「あんまり気持ちいいと、悲しくなるじゃん」と切なげにつぶやく......という具合に、NHKらしからぬ描写や台詞まわしが目立つ。
奔放な次女に対して、木村多江が扮するのは三姉妹の長女であり、エリートサラリーマン多田(ユースケ・サンタマリア)のもとに嫁いだ麻子。夫とは共依存の関係にあり、後の放送でこの関係がクローズアップされることを推測させる。かねてより"薄幸美人"として定評のある木村は、夫に怯える妻を見事に演じきっており、何でもないシーンでも、目で追ってしまう存在感を放っている。脱ぎや濡れ場はないが、夫からマヨネーズを1本たっぷりかけられる場面は圧巻だ。
真木の濡れ場、木村のマヨネーズぶっかけシーンなど、第一話だけでも目が離せない内容であるにも関わらず、なんと、今後もこのクオリティを保っていくようだ。
「昨年放送のドラマ『セカンドバージン』でもNHKらしからぬ過激な性描写と濡れ場で好評を博しました。これに続けという制作側の心意気も見えてきますね。真木はかつて映画『ベロニカは死ぬ事にした』で過激なオナニーシーンに挑戦した過去がありますし、今回もどこまでやってくれるか期待が高まります。ただ本当に"演技派"の木村の演技は静かながらも人を惹き付けるものがあって、真木が体当たりのセクシーシーンに挑戦すればするほど、木村の演技が光ってしまう部分もあります。
しかし木村との共演により、真木が濡れ場への高いモチベーションを保ち続けてくれるのは視聴者にとってこの上なく有り難い話である。また最終話まで毎回のように真木のエロシーンが盛り込まれているのであれば、木村のほうもストーリーが進むにつれて過激なシーンに挑戦する......という可能性もなくはないだろう。今後の放送に期待したい。
(文=近藤チカゲ)
(※画像は左『IQUEEN VOL.2 真木よう子』、『婦人公論 2010年 9/7号』より)