"元祖バイリンギャル"タレントの山口美江さんが51歳の若さで孤独死した。「しば漬け食べたい」というフレーズが受けたCMをきっかけに、才色兼備のタレントとして注目されただけに、男性関係でもしばしば芸能マスコミを賑わせた。
最も有名なのはコント赤信号の渡辺正行との熱愛だが、実際には潔癖症の山口にとっては、浮ついた渡辺は好みではなく、ワイドショーに追っかけられて、迷惑していたことを記憶している。さらに、ビートたけしの番組に出演が多かったことから、たけしとの関係もウワサされた。山口がたけしに好意を持っていたのは間違いなかったので、たけしに「どうなの?」と聞いたことがある。たけしは「おいらの趣味じゃないよ」と否定していた。確かにたけしは昔、CMで共演した宮沢りえとウワサになった。
その後山口は、TBSの特番で歌手の布施明とフランスのパリにロケに行ったことで、急接近。熱愛が報じられて、結婚の話が持ち上がった。ちょうどその頃、山口が所属する事務所の社長を、ある音楽プロデューサーを通じて紹介された。社長は山口の父親と同じ年代で、元日本テレビの社員だった。
その直後から、山口は情緒不安定になって、拒食症にかかり、激ヤセ。異常行動が目立つようになった。みのもんたが通う青山のスポーツジムの前で、変装した山口が待ち伏せする姿が目撃されたことで、みのとの不倫がウワサされたこともあった。他にも、おかしい行動はあった。
父親が06年に他界するや芸能界に復帰したが、本格的な活動ができるほど、山口が活躍する場は残されていなかった。だが、山口の出現以降、知性派の女性タレントの活躍の場が増えたのは間違いない。
(文=本多圭)
※イメージ画像:『山口美江という「私」』著:山口美江/サンドケー出版局