森高千里のデビュー25周年を記念したアルバム『ザ・シングルス』が、初週1.9万枚を売り上げて週間アルバムランキング5位に初登場した。平成生まれのアイドルが「19歳はババア」と発言したことが話題になったが、43歳となった森高は元祖アイドルとして再注目され始めているという。

 森高のブレイクはデビュー3年目の1989年、人気低迷の脱却を図り、歌手活動を本格化させた頃だったという。コスプレという言葉もなかった時代にミニスカートで登場し、意図的なパンチラと“前に出ない”素朴なキャラクターとのギャップが、従来のアイドル像を打ち砕いた。また自ら行う作詞の能力が、ファンのみならず、音楽マニアや業界関係者の間でも話題になっていた。

 しかし当時は、女性アイドルが大々的に活動を行うことは難しい時代だった。所属事務所・アップフロントエージェンシーからデビューした森高だったが、女性アイドルの席、バーニング系列のタレントで埋め尽くされていたという。

「男性アイドルに関しては、現在もジャニーズ事務所の独占事業ですが、女性アイドルについては垣根やしがらみも薄くなり、乱立が続いている状態。

しかし、森高がデビューした80年代後半から90年代初頭は、バーニング系列が完全に市場を独占していました。そんな中で森高が他事務所にいながらアイドル路線を貫けたことは、業界的に見ても異例なんです」(芸能プロ関係者)

 小泉今日子中山美穂らが全盛期だった時代、非バーニング系列事務所から女性アイドルを育てるには、それなりの策が必要だった。

「森高の所属事務所の代表は毎月セッティングを行い、“芸能界のドン”との会合を開いて情報提供や贈答を続けてきました。こうして森高には厳しい縛りが入ることもなく、事務所や本人の希望通りの展開を続けることができた。アップフロント勢による“B対策”が功を奏した結果ですね」(同)

 そして99年の結婚・出産以降は、を控えることに。今回のアルバム発売に関しても、本人が登場する大々的なプロモーション、予定されていないようだ。

「すでにい人からすれば『私がオバさんになっても』というフレーズは耳にしたことがあっても、江口洋介の奥さんで人気アイドルだったことは知らないはず。彼女の場合は新規ファン獲得など視野に入れる必要性もなく、当時のファンが盛り上がれば、それで成功なのでしょう。業界的、そして一般的にも認知度の高い、完成されたタレントにしかできない戦略です」(別の芸能プロ幹部)

 アイドル全盛期の再来といわれる昨今、25年後に現在の若手アイドルで森高のポジションに到達できる者は、何人いるのだろうか?