アメリカを中心として活動し、世界各国で「デートコーチ」という名目でナンパ術を伝授しているジュリアン・ブランク氏が11月中旬、来日することが判明した。日本国内でセミナーを開催するという情報もあり、彼の入国拒否を求めるキャンペーン活動が署名サイト「Change.org」内で行われている。

11月6日に発足された同運動は、10日12時の時点で、約4万人の賛同者が集まるほどの盛り上がりを見せている。しかしなぜ、ナンパ師というだけでこれほどまでに一般男性の入国を拒絶しているのか。

 問題となったのは2014年9月17日、動画投稿サイトYouTubeに公開された動画だった。ジュリアン・ブランク氏によるナンパ講義の模様を流したこの映像は、わずか3分程度ながら過激な言葉が頻出する。たとえば彼は「東京でのナンパ術はハメるだけ」と豪語し、「白人である場合、東京で日本人女をナンパするのは楽勝」「グイッと引っ張って『ピカチュウ』とか『ポケモン』とか言ってりゃ大丈夫!」「街で日本人女の頭を掴んではアソコに当てまくってやったよ。『ピカチューピカチューピカチュー』って言いながらね」などと連呼。
動画の後半では、ジュリアン・ブランク氏が日本のコンビニで働く女性店員に対して、強いるように長時間キスをするシーンなども見られる。

 東京で日本人女性をナンパし、やりたい放題を繰り返すジュリアン・ブランク氏。そんな彼に対して、「けしからん!」「そんなやつの入国を許すな」と声が上がり、署名サイトChange.orgを使ってのキャンペーンが広がっているのだ。ちなみにChange.orgとは、アメリカのNPO法人に認証された団体が運営し、個人の声から世界を"チェンジ"しようという主旨で立ち上がったもの。世界中で利用されているキャンペーン支援サイトで、日本においては「2020年に開催される東京オリンピックでレスリング競技を存続させよう」という運動を行い、成功させたことで知られる。

 日本人女性を侮蔑するかのような動画を見た日本のネットユーザーによって、Change.org上で展開されているジュリアン・ブランク氏の入国拒否キャンペーン。
ユーザーたちは、「ついていく方も悪いけど、こいつは入国させるな。女を下に見すぎ!」といった怒りの声を上げ、「僕は日本の女の子がそんな尻軽じゃないって信じてます! 頑張れ! ヤマトナデシコ!」など女性たちを応援する声を寄せる。中には「日本の皆様、この人が白人の代表と思わないでください。こいつのせいで私たちのイメージが悪くなる」といった外国人からのコメントもあり、署名の数は日に日に増していった。

 以前からジュリアン・ブランク氏の指南する"ナンパ術"には、女性差別、特に日本人女性に対する軽視・蔑視が見られ、虐待やDVを助長する可能性があるとして、世界各地で非難の声が上がっていた。Change.orgの中でも、過去に複数回、彼の入国を拒否しようという署名が立ち上がっているほど。
しかし、これまでに入国を拒否できたことはなく、今回もまたシレッと日本にやって来るのではと推測される。ただ、今キャンペーンの発信者「Queen Jackal」氏は10日、本署名を手に入国管理局と直接コンタクトを取り始めたようで、ジュリアン・ブランク氏の就労ビザの有無などによっては、法によって取り締まれる可能性もあると話している。

「女性に限った話しではなく、日本人は『No』とできるだけ言わない国民性を持っています。幼いころから『人には親切に仲良くしましょう』と教育をされていますからね。これは欧米の価値観とは大きく異なります。欧米の場合は『自分の身は自分で守る』と教えられます。
時代が変わってきているとはいえ、外国人にいきなりハグやキスをされたら、怒りを露わにするより苦笑いでその場を穏便におさめようとする日本人女性は多いでしょう。そういう意味では、ジュリアン・ブランク氏のように『日本人女性は白人であれば笑っているだけで抵抗しない』との印象を抱いている外国人は他にもたくさんいてもおかしくはありません」(NPO関係者)

 日本男児としては考えるところも多いかもしれない。ジュリアン・ブランク氏の日本でのセミナーは11月15日~17日の間に行われるとのことだが、果たして署名の成果はどう出るのだろうか? いずれにせよ彼の動向が注目される。
(文=阿部紙袋)