8月22日から23日にかけて、富士山麓で行われた「長渕剛 10万人オールナイト・ライヴ 2015 in 富士山麓」は、その圧倒的なスケール感はもちろんのこと、「ヘリコプターの風圧でテントが倒れ、女性2人がケガ」「会場からの帰宅困難者が続出」といったトピックでも話題となり、ネットでは賛否両論が巻き起こっていたが、その裏側もまた想像以上にカオスだったようだ。

 ライヴは22日の夜9時から開始し、翌日の朝6時まで敢行。

参加者によると、会場の音響は非常にクオリティが高く、どこにいても長渕の曲が聴こえた上、長渕自身のパフォーマンスも圧巻で、最後まで喉をからすことなくパワフルに歌い終えたという。また、フードコートやトイレ設備も充実していて、思いのほか快適なフェスだったとのことだ。多くの参加者は、規制退場には辟易したものの、初めての開催にしては上出来だったと見る向きもあった。

 しかし一方で、関係者同士でも足並みがそろわないところがあったと、音楽業界関係者は指摘している。

「ライヴには音楽評論家の湯川れい子さんも訪れていて、現場の様子をTwitterで実況していました。彼女の息子は主催するキョードー東京の幹部だから、このイベントを熱心に応援していたのでしょう。
しかし、盛り上がっていることを伝えようと『8万人?9万人は入っているのではないでしょうか?』とツイートしていたのは明らかに失敗だったと思います。案の定、ネット上では『10万人じゃねーのかよww』といったツッコミが相次いでいましたね」(同)

 また、23日には陸上自衛隊による国内最大規模の実弾射撃演習「富士総合火力演習」が行われたことを挙げ、「なんともいえない趣きを感じた」と同関係者は続ける。

「ライヴの後半では、ファンたちが日の丸を掲げつつ、安倍首相批判とも取れるパフォーマンスも見られました。その政治的スタンスはさておき、23日には何事もなかったように、会場の裏側である静岡県の東富士演習場で、陸上自衛隊による『富士総合火力演習』が行われていました。日本を代表する山である富士山を挟んで、長渕と自衛隊がともに動いていたのかと思うと、なかなかカオスな2日間だったのではないでしょうか」

 今年開催された数多くの音楽イベントの中でも、とりわけ異彩を放っていた“長渕フェス”。この国における長渕剛の存在感は、ますます大きくなっていくばかりだ。

(文=山下祐介)