ジャニーズ事務所に所属するタレントのファンクラブ組織「ジャニーズファミリークラブ(JFC)」が、6月1日より会員規約を改定すると発表し、ジャニーズファン内外の関心を集めている。長らくファンから不満や疑問の声が上がり続けていた同規約について、改定の動きを働きかけたのが「消費者被害防止ネットワーク東海(Cネット東海)」だ。
◎ジャニーズファンからの情報と、申し入れ内容
この日、報告を行ったのは同理事・検討委員で弁護士の伊藤陽児氏。Cネット東海がJFCへ申し入れ書を送付したのは10月18日だが、それからおよそ1カ月後の11月17日に、「ある地方の消費生活相談員の方のツイートがきっかけになり、あっという間に情報が拡散され、アクセスが集中しHPのサーバーが二度ダウン」(伊藤氏)することになったという。ニュースサイトでの報道や、同団体への取材依頼も殺到するなど、関心の高さを肌身で感じたそうだ。
そもそも、同団体がJFCへ申し入れを行うきっかけとなったのは、消費生活相談窓口に「SMAPのファンクラブの会員特典が一方的に変更された」「会報が年4回から不定期発行になった」などという情報が寄せられたことだ。
Cネット東海が問題視した規約は、以下の5点。
1)会員は、タレントファンクラブの会員特典を受けることができます。会員特典の内容は随時変更されます。(第2条3)
→「会報の発行ペースが変わることもあるということ」
2) JFCは、本規約を予告なく改定することがあります。改定された本規約については、JFCより告知されるものとし閲覧可能となった時点から効力を有するものとします。
→「ファンに不利な内容になっても文句が言えないということ」
3)退会処分とされた会員は、損害賠償等の一切の権利行使ができません。(第4条3)
→「チケットが無効となるだけでなく、チケット代金も一切返してもらえないということ」
4)タレントおよびジャニーズ事務所は、タレントファンクラブのサービスに関し、いかなる責任も負わないものとします。(第5条1)
→「ファンクラブにミスがあっても、ファンは何もいえないということ」
5)会員が資格を喪失した場合、理由の如何を問わず、支払い済みの入会金および年会費の返還はできません。また、退会処分とされた会員は、損害賠償等の一切の権利行使ができません。(第4条3)
→「例えば、違うグループのファンクラブに勘違いして入ってしまっても、一切返さないということ」
Cネット東海が、上記の内容で申し入れを行ったところ、11月18日にJFCから「回答猶予」を求める回答書が届き、12月9日には1)~4)について「改定する予定」、5)に関して「改定は応じられない」とする回答書が送られたとのことだ。その後、今年5月中旬になり、JFCのHPに改定予定の規約が掲載されたことを受け、「現在、その規約内容を検討している。
◎ヤングコミュニケーションへの申し入れと、回答状況
2月14日には、ジャニーズ関連企業のヤングコミュニケーションに対しても、チケット販売規約を見直すよう申し入れている。不適切とされた規約は、以下の4点だ。
1)チケットの購入申込後または入金後のキャンセルや枚数等の申込内容の変更はできません(第2条7)
2)弊社は、申込者が以下のいずれかに該当することがわかった場合、申込みを無効とし、または、当選を取り消すことができます。この場合、チケット代金の返還はいたしません。
・申込みの際の申告事項に、虚偽の記載、誤記、または記入漏れがあった場合(第3条4)
3)郵便局などによる不備は事故に関して当社では責を負いません。料金前払郵便による通知は、それが投函された日の翌日に送達されたものとみなします。(第4条)
4)本規約は事前の催告無く変更される場合があります。(第9条)
上記の申し入れに対し、3月8日に、ヤングコミュニケーションから「改定する予定」との回答書が届き、5月23日にCネット東海が「問い合わせ書」を発送した段階にあるという。
Cネット東海の活動により、JFCの規約改定という結果に結びついたが、これについて伊藤氏は「ネットでも広がって騒がれたことから、ジャニーズ側も対応しようという動きになったのだろう」と話す。ネットを中心としたジャニーズファンの反響はすさまじかったそうで、「応援や感謝のはがき、手紙が届いた。
応援のお便りは、2カ月でメール104件、はがき・手紙47通になるとのことで、寄せられた声の中には「文句をいうとブラックリストに載ってしまうのではないか。そういうふうに怖かったので声を上げられなかった」「当たり前のことだと思い込んでしまっていた」「ファンにもタレントにも優しい企業になってほしい。ずっと応援してきたから、いい企業に変わってほしい」といった内容があったそうだ。
また、Cネット東海のジャニーズ事務所への活動が知られたことにより、演歌歌手のファンクラブ活動内容やプロ野球といったエンターテインメント業界全般に関する情報も集まってきているといい、「ジャニーズを相手にしたことで『Cネット東海は怖いものなし』ともいわれるが、ジャニーズだから、芸能事務所だから、というフィルターはない。他企業と同等に活動を行っていくだけです」と語った。
講演の最後に、伊藤氏は「『これおかしいな?』と思うこと、消費者一人ひとりが声を上げれば、消費者の意識がかわる、企業の意識も変わる、社会も変わっていく。そのきっかけとなればいいと思う。適格消費者団体は全国に16団体あるので、おかしいと思ったら、情報を入れていただきたい」と語った。
JFCに続き、ヤングコミュニケーションがどのような対応を見せるのか、今後の動向にも注目が必要だ。