7月30日に行われた夏の高校野球西東京大会決勝で、早稲田実業が東海大菅生に敗北。怪物・清宮幸太郎の“最後の夏”は、甲子園を目前にして終了した。



 翌日のスポーツ紙は「進学」と「プロ入り」で情報が錯綜しているが、もし大学進学を選ぶようなら前途は決して明るくない。

 東京予選の準決勝・八王子戦で高校通算107号を放ち、山本大貴(神港学園)が持つ高校通算最多記録に並んだ清宮。しかし、決勝戦は常にリードを許す苦しい展開となり、6対2で敗れ去った。1年生の時から進路について注目を集めていた清宮だが、試合後のインタビューでは明言を避け、翌日のスポーツ紙は「早実・清宮、プロ志望届提出へ!」(サンスポ)、「終戦の早実・清宮 進学へ 軸は系列の早大、大学も視野」(スポニチ)と、情報が錯綜していた。そんな中、「もし進学するなら、“怪物”は“並の選手”に成り下がる」とスポーツライターが指摘する。

「進学するなら当然、早稲田大学ということですよね。
早稲田大学は確かに大学球界屈指の強豪で、全日本大学野球選手権でも、昨年までの10年間で3回優勝しています。しかし、プロ予備軍が東京六大学に集まり、高いレベルで切磋琢磨していたのは、もはや過去の話。いまやドラフトで上位になる選手は全国の大学に散っており、都内のレベルでいえば『六大学<東都』というのが定説です。第一、六大学には入れ替え戦がなく、東大が入っていますしね。そして重要なのは、過去の高校野球史をひもといて、“超高校級”と呼ばれた選手が大学進学後にプロ入りして大成した例がないことです。唯一の例外は、当時、大学合否がニュース速報にもなった高校野球史上最高の投手との呼び声も高い江川卓ですが、その江川ですらプロ通算9年で135勝。
これは超一流と呼べる数字ではなく、今でも『即、プロ入りしていたら……』と、言われています」(同)

 しかし父の清宮克幸氏は、ご存じの通り早稲田大学ラグビー部の元・監督。息子に英才教育を施した父が、早大進学を勧めても不思議ではないが、週刊誌記者はまったく違う見方をする。

「スポーツ紙の情報が錯綜しているのは、清宮家の狙い通りだと思いますよ。いまやスカウトたちの評価は、夏の大会前に決まっており、清宮が出場を逃しても彼の評価が下がることはありません。しかし、大学進学となったら話は別です。何せ、4年後にはどんな選手になっているかわからないのですから。
一部メディアが伝えるように、清宮が将来、メジャー行きを希望していることは事実でしょう。とすれば、清宮にとって最も理想的なのは、日本球界からメジャー行きというルート。好条件を引き出すために進学をチラつかせ、『それでも我が球団へ』という“熱意”のある球団を選ぶという、したたかな戦略があるのではないでしょうか」

 西東京大会決勝で敗れた後には、「ファーストしか守れない」「守備・走塁に課題あり」といった声も寄せられたが、客を呼べるスケール感は、まさに「怪物」の名にふさわしい。清宮の進路をめぐってマスコミが踊らされる状況は、まだまだ続きそうだ。