キラキラ女子というキーワードが世間を賑わすことは少なくなった。だが、若い女子の一部に上昇志向の強いコがいるのは、昭和の時代から変わらない。

刻一刻と消えていく若さを知ってなのか、“人脈”と“金脈”を求め、夜の世界に繰り出す女子たち。

 「パパ活愛人」も、その上昇志向の表れなのか。若さを使って、同年代の女子たちが手にできない何かを掴もうとする娘たち、既得権益を利用して、若い女の体を弄ぼうと企む中年男たち……。そんな、飽くなき闘いの一端を覗いてみよう。

 ガールズバーで知り合った、オジサンたちの人生指導

ーーちょっと前、パパ活って言葉がはやったよね。実際してたコっている?

「いますよ。

パパがほしいってコは、今もいます。っていうか、私もほしいかも(笑)」

 と話すのは、岩手から上京し、今年4月に都内お嬢様女子大に入学したアオイちゃん(仮名)。インスタグラムにはフォトジェニックな写真がズラリと並ぶ、イマドキのリア充な女子大生だ。現在は、大学の近くで一人暮らしをして、夜はガールズバーでバイトをしている。だが、このバイト、大学の友達には内緒にしているという。

「内部(註:付属学校)から進学してきたコとかは、みんな実家暮らしで、バイト代は全部お小遣いになるですよね。
家も結構お金持ちっぽくて、普通にブランドのバッグとか財布とか持ってるんですよ。財布はヴィトン、バッグはケイト・スペードやフルラとかが人気あります。だから、それまでバッグなんてノーブランドの3,000円くらいのしか持っていなかったんですが、みんなについていかなきゃって気持ちになって、バイトしてシーバイクロエのバッグを買いました」

 長期の休みになると、旅行の機会もあり、とにかく内部進学生のライフスタイルについて行くのが大変なのだという。

ーーそういう友達とはサークルとかで出会うの?

「前はサークルも活発に顔出ししていたんですが、今はあんまり積極的な感じじゃないんです。っていうのも、新歓やるからおいでよって誘われて行ったら、先輩たちはヤりたいだけの人ばっか。飲み会の後は基本カップルになってて、誰かの家に行ってヤるみたいな空気で……。
お互いに付き合うつもりはないのに」

ーーインカレのオールラウンドサークルとか?

「そうそう。ああいうサークルの中心の人たちって、基本ヤりたいだけ。男も女も利害が一致したWINーWINな関係なんですよ(笑)。でも、私は実害を感じたことがあって。A君って自他ともに認めるチャラ男なパリピがいるんです。クラブのVIP席でイチャついたりするような。
その子が知り合いを妊娠させたっていう話を聞いて、自分を守りたいなら距離おくべきだなと」

ーー賢いね。で、サークルとは距離を置いたってわけだ。

「そう。でも、バイト先で、『慶應とか早稲田の男がいつも周りにいるような状況って今だけだよ。大学生のうちにちゃんと付き合って、そういう相手と結婚するんだよ』みたいなことをお客さんから言われるんですよ。だから今の時期を無駄にしちゃいけないなと思いまして……」

 夜のバイトで知り合った30代、40代の男性から”人生”について教えを受けるうちに”女子大生”に価値があることに気づいたのだ。
そこでアオイちゃんは、“表向き”には上昇志向のある学生と付き合うことを目的に、せっせと同世代男子との出会いを探している一方、裏ではしたたかに「大人人脈」も築いている。



 つい先日、他大学の友達から誘われたパーティーに出かけてみたところ、そこはキャバ嬢やモデル、女子大生と付き合いたいリッチな男性が参加している場だったという。

「キャバ嬢とかは、本気で婚活モード入ってて、ああはなっちゃダメだなと思いましたね。私は、お金が欲しいっていうよりは、社会のことを色々教えてくれて、私のことを伸ばしてくれるような40歳くらいまでの男の人がいたら付き合いたいなと思って。その上で、ちょっとお小遣いもらえたらうれしいけど」

 結局、そのパーティーではなんとなく付き合った男性ができたそうだが、1カ月ほどで自然消滅してしまったという。その間、おいしいご飯を食べさせてもらい、洋服を買ってもらった程度で、現金をもらうような機会はなかったそうだ。
ちなみにエッチは1回だけしたという……。

 しかも、こういったケースは一度ならず、何度も続いたのだった。

「六本木のあるお店で、愛人を探している人と出会えるって聞いたので、友達と出かけたんです。声をかけられて一緒に飲み、後日2人で食事でもということになりデートしました。その日は、普通にご飯を食べてサヨナラだったんですが、これが1カ月以上続いたんです。その間、ただ一緒にご飯食べるだけ。で、その人とはごはん食べるだけで関係は終了しました」

ーーお金もらったことってないの?

「友達から愛人のお見合いバンクみたいなところに誘われて登録したんですが、そこの男性と会った時にはもらえましたね。ご飯して、ホテルに行って、最後に3万みたいな」

ーー意外と少ないんですね。

「はい。しかも、デート全部で6時間くらいかかって。これが続くんだと、正直、つらいなって思いました。会ってくれるのは不定期だし、必ずこれだけもらえるっていう保証もないし。こういうのが続くと考えちゃいますよね……。6人と付き合いましたけど、お金くれたのは1人だけ」

ーー愛人って大変だね。

「そうそう、おいしい話はないってことですよね。普通にバイトしていた方が確実にお金が入るなって痛感しました」

 援交のようにカラダを売ることなく、デートするだけで数万円や高額プレゼントをもらえるパパ活という言葉が独り歩きしたが、実際はどうもなかなかオイシイ目にはあり付けないようだ。

「むしろガールズバーの常連のお客さんと食事したり、デートした方がいい思いができるのかも(苦笑)」



 一方、中年男サイドの思惑はいかがなものなのだろうか? アオイちゃんのようなキラキラ系の女子大生や、見た目のいいOLなどが働くラウンジを経営している加藤氏(仮名・43歳)に話を聞いた。

 加藤氏は、自身の店を経営する傍らで、高収入を稼ぎ出して夜遊びに繰り出す六本木の住民たちに、自身の店の女の子を愛人候補として紹介しているのだ。

「昔からの知り合いから、『誰かいいコいたら紹介してよ』ってよく言われるんだよね。みんな結婚しているから、つまり、お金は払うから愛人として付き合ってくれるコってことなんだけど」

ーー女の子は嫌がらないの?

「いや、女の子の方から『誰かいい人いたら紹介してください』とか『愛人って興味あるんですよね』みたいなことを言ってくるよ。無理やり誘ったことなんてない」

ーー良い出会いを供給する、世話焼きオジサンじゃないですか。

「それがそうでもないんだよね。結構トラブルがあるから。だから、裏でお金はもらってる」

 というのも、男性側がお断りするケースがあまりにも多いのだという。

「だいたい持って3カ月だね。短いと1回会っただけで終わる。半年、1年って交際が続くコなんて滅多にいないよ。男が飽きちゃうの。『あの子、もうつまんなくなっちゃった』『話してても面白くないし』って。だから、女の子からしたら、期待して付き合ってるのにあっという間に捨てられたってなるわけ。そもそも自分に魅力がないから男が逃げちゃってるのに、『ケチ』だとか『女の扱いを知らない』とか文句だらけ。それを慰める……つまり、後処理がオレのメインの仕事なんだよね」

 男女の欲が蠢く街で、欲同士が見事マッチングし、WINーWINになるケースはどうやら少数派のようだ。

 だが、その裏にあるのは、若さを武器にオイシイ思いをしようと企む女性を、老獪な中年男が食い散らかす図だ。いずこの時代でも、「俺、結婚するならあんまり遊んでない子がいいな」とのたまう男がいるのは、「中年男に食い散らかされた女性は嫌だ」という本音があるからだろう。