銀座のある一室に並ぶ6体のラブドール。目を閉じて夢を見ているような子もいれば、男性器めいた白いオブジェを抱える天使もいる。
いちばん奥には座っている人形と、その傍に佇んでいる黒服の女の人。「さわってみますか?」そう言われて、どきどきしながらさわる。…つめたい。
ハイ、ヴァニラ画廊で行われているラブドールの展示「人造乙女博覧会3」に滑り込みで行ってきました!

そもそも、「ラブドール」って知ってますか?
言ってしまえばダッチワイフの一種。プレイ用の人形です。でも、一般的に想像されるダッチワイフや、空気を入れてアレコレするものと比べたらずっとリアル。
身長も同じくらいで、外見も実際の女性に似せられていて(というかずっっっっと可愛く!)、でも行為ができてしまう人形。それがラブドールです。
ラブドールを製造する企業の中で特に有名なのが、オリエント工業(※リンク先18禁)。「人造乙女博覧会」は、そのオリエント工業の35周年を記念したイベントです。もちろん展示されている人形は、6体全てがオリエント工業製。
オリエント工業のラブドールは、とにかく精巧。
表情は幼いものから大人っぽいものまである(頭部のパターンがいろいろあって、購入のさいに好きな顔を選ぶことができる。髪型もカツラなので変更自在)。ボディも、研究・開発したフレームによって、直立もできるし、さまざまなポーズをとらせることもできる。指に関節が入っているものを選べば、グラスだって持てる。実際に市販されている女性用の服も着られる。だけど、実際の使用に耐えられるように、耐久性のことも考え尽くされている。
精巧に作られているぶん、お値段もけっこうする(60万~)。
いろいろな意味で、そんじょそこらのダッチワイフとは一緒にすることができないんです。

さて、そんなオリエント工業製のラブドールが並ぶ、「人造乙女博覧会」。
「博覧会」といっても、東京タワーの蝋人形館のように、ずらずらーっと並んでいるわけじゃない。会場のヴァニラ画廊はビルの一室のギャラリースペースで、15人くらい入るともういっぱいになってしまいます。そんな空間に展示されている6体のラブドール。

もう、空気がすごい。
入った瞬間目にはいるのが、「スカートテーブル」を身に纏ったラブドール。…よくわかんないですね。直立している全裸の女の子がいて、その胴体を囲むような円状のピンクのテーブルがあって、その上にワインの瓶やグラスが置いてあるんです。
今回のテーマの1つに、「愛玩人形家具」っていうものがあります。人形を家具に組み込んでしまう、もしくは人形を家具にしてしまうという趣向です(ちなみに私はこの嗜好を魔人探偵脳噛ネウロで知りました)。
スカートテーブルのラブドールは、まさに人形であり家具でもあるんですなー。
さらにすごいのは、右乳首のしかけ。背中に設置してあるタンクから液体を吸い出して、乳首から飲み物を注げるんです。それを説明してくれたスタッフさんは、「ワインも注げますし、牛乳も注げますよ」「えっ、牛乳を」「はい、牛乳を」と言ってました。マジ牛乳注ぎたい。夢とロマンがここにあります。


回転する椅子に座って、眠っているラブドールもいます。オリエント工業の新製品で、目を閉じて眠っているようなタイプ(名前も「夢」ちゃん)の子です。やわらかく閉じた瞳、うっすら開かれたくちびる、透ける素材のキャミソール一枚だけを身に纏っていて、しかもそのキャミの片方の肩紐は、ずれて肩が露わになっています。リアル「眠れる美女」。なんだかすごくいけないことをしている気が…。

中央には、男性器を模したような白くてつるつるしたオブジェと、それにそっと寄り添う二体のラブドール。彼女たちの背中には天使の羽が生えてます。ラブドールちゃん、マジ天使。
そしてその向こうには、本棚に組み込まれたラブドール(ふつうの本棚の奥に、1体のラブドールが入っているもの)。これも「愛玩人形家具」の1つです。

これまであげた5体のラブドールは、どれもおさわり厳禁。ただじっと見ることしかできません。でも最後の1体、いちばん奥のラブドールは、さわってみることができました。
横に立っているお姉さん(これは本当に生きてるお姉さん)からウェットティッシュをもらい、手をふきふき。「やさしく、生身の女の子にさわるように、愛でてあげてくださいね」の声に頷いて、そっと腕にふれます。
さわってびっくりしました。

つめたい。
ぴたってする。
あっ、ほんとに人形なんだ…。

不思議なことに、目の前のラブドールがシリコン製の人形だとわかっているのに、なぜか人の肌の感触がする気がしてました。でも、さわってみたらやっぱり違う。シリコン製の肌は、ちょっとつめたく、すいつくようなぴたっという感触がします。触り心地的には、ヌーブラとか、駄菓子屋さんで売っているおっぱいボールの上質版といったところ。
腕を無心で触っていると、横でお姉さんが「関節も入っているので、動かせますよ」と教えてくれる。指をちょっと曲げてみたり、ポーズを変えてみたり。「激しいプレイにも耐えられますよ」「はい!」
緊張しながらほっぺに触ると、「くちびるも触ってみてあげてください」と言われ、さわる。…おお! ほっぺたや腕と比べて、くちびるの方が柔らかい! ぷるぷるしてる!
くちびるをぷにぷにさわったあと。勇気を出しました。おっぱいにいきます。
「真っ先に揉む方と、最後になるまで揉めない方がいらっしゃるんですよねー」と横で語るお姉さん。あ、後者です、私。いきなりおっぱい揉むと、がっついてるかなーって思えて揉めませんでした…。でも他のパーツはひととおりさわったんで、揉みます。もみもみ。もみもみ。
意外とかたい。
胸のやわらかさって、俗説によると二の腕のやわらかさと同じといいますよね。でも、ラブドールのおっぱいはそこまでふにふにではありません。「やわらかーい」というより、「ハリがある!」という感じ。先ほども例にあげたおっぱいボールを揉んだときの感覚より、もうちょっとかたいです。あんまりやわらかくすると耐久性が低くなってしまうので、考え抜かれたバランスなんだそうです。
へえー、そっかー、バランスが…もみもみ。…もみもみ…。……もみもみ……。

入場者のプレゼント特典として、「オリエント工業の歴史」という小冊子がもらえます(予想を上回る来場者に一時品切れ、あわててオリエント工業から送ってもらったとか)。1977年のラブドール「微笑」と、2012年の「アンジェ(瞳、夢)」を比べると、すさまじい進化を遂げていることがわかります。それだけじゃなく「愛玩人形家具」の試みからもわかるように、さまざまな方向に進化していくことでしょう。
ぼーっとして、見とれて、そしてもみもみできる「人造乙女博覧会3」。冒頭に「滑り込み」と書きましたが、会期は10/20(土)までです。あと2日!揉みたい人は急ぎましょう!(でもさわるときはあくまで優しくね!)
(青柳美帆子)