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「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録。その時、和食の定義とは

2013年12月10日 11時00分

ライター情報:青柳美帆子

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農林水産省の「和食」紹介リーフレットの表紙。農水省のホームページ「日本食文化を、ユネスコ無形文化遺産に。」ページからDLできる。同ページではユネスコへの提案書も読める

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12月4日、「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録された。でもちょっと待った、「和食」ってなに?
そもそも、今回の登録は「日本料理アカデミー」(京都の料理人が中心になっているNPO法人)が始めた運動がきっかけ。そのせいなのか、マスコミで紹介されるのは老舗料亭の料理のイメージ。でも、それだけが「和食」ではないはずだ。
農林水産省のホームページでは、「和食の特徴」として以下の四点が挙げられている。

・多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
・栄養バランスに優れた健康的な食生活
・自然の美しさや季節の移ろいの表現
・正月などの年中行事との密接な関わり


うーん、わかったようで、よくわからない。そこで、農林水産省の食文化・連携推進班の担当者に「和食の定義ってなんですか?」と聞いてみた。
「今回の無形文化遺産登録で、『じゃあラーメンはどうなんだ?』といった問い合わせもいただいています。ただ、今回の登録では、『何が和食か』ということは議論になっていないんです」(担当者)
えっ、そうなんですか?
実は、今回登録されたのは、「食に関する慣習」。ユネスコの無形文化遺産登録が対象とするのは「無形」の文化なので、特定の食事を申請・登録することはできない。

たとえばおせち料理。「おせちが和食かどうか」はそもそも問われない。ユネスコが登録したのは「正月におせち料理を食べるという文化」となる。
「赤飯」ではなく、「おめでたいときに赤飯を食べる文化」。
「会席料理」ではなく、「人をもてなすときに会席料理を出す文化」。
「ちらし寿司」ではなく、「雛祭りにちらし寿司を食べる文化」。
これらを「和食」として登録したのだ。
もっと身近な例で考えると、「ご飯」や「味噌汁」ではなく、「ご飯・味噌汁・おかずといった組み合わせを基本とする文化」を和食としている。この際の「おかず」が何であるのかは問われていない。

今回の登録に至るまでに、日本料理アカデミーを中心に「会席料理」を和食(日本食)と定義し、申請しようとする提案もあったという。しかし、そうしてしまうと結局特定のもの(「無形」ではないもの)を申請してしまうことになり、登録されない。あくまでも対象となるのは社会的慣習(文化)だ。
これは他の国も同じ。フランスもメキシコもトルコも、食事自体が登録されたのではなく、その食事をめぐる文化が登録されている。

しかし、ここでまた疑問が生まれてくる。今回申請されたものは、いつ頃までに定着した文化なのだろう。

ライター情報

青柳美帆子

フリーライター。1990年(平成2年)生まれ。オタクカルチャー・イベントレポ・明るいエロス・少女革命ウテナなどを中心に執筆しています。

URL:青柳美帆子のまとめ

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