賛否両論巻き起こるこの特殊仕様を採用したのは「フリクリ BD-BOX」。写真を見ていただけると分かるように、最初に箱を破らないと開くことが出来ません。そして出てくるのが銀色のビニール袋。箱はうまくいじればなんとかなるのですが、袋の方はどうやっても破らないと見られない……っ!
まるでポッキーのような作りのこのBD-BOX、開けたが最後絶対元に戻りません。なんともコレクター泣かせで突拍子も無いデザインにあたふたしてしまいますが、同時に「あー、『フリクリ』めやりやがったな……」という気持ちも湧き上がります。
「フリクリ」は、GAINAXが2000年から2001年にかけて制作したOVA(オリジナルビデオアニメーション)。遊び要素が恐ろしいほど詰め込まれている、わけの分からないシーンがてんこ盛りの作品です。
なのに。6話のクライマックスまで見ていくと、奇妙な感動とカタルシスに包まれるんですよ。なんだこれは? 見ているぼくに何が起きたんだ?? 目を点にしているぼくに、ハル子、マミ美、ニナモのヒロイン3人は画面の向こうから語りかけてきます。
「わかったような気になるなよ」
(「フリクリックノイズ」74ページより)
今からもう10年も前の作品でTV版「エヴァ」と逆ベクトルに紡がれた奇天烈な傑作。その監督鶴巻和哉氏が、まさか後に「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」の監督になって大ヒットを飛ばすことになろうとは思いもしませんでした。
最近『ヱヴァ』を見始めた方には、その原点なのでこの機会に是非見ていただきたい! また昔からのファンは、鶴巻監督とキャラデザの貞本義行氏の解説を収録した「フリクリックノイズ」を片手に再発見してほしいのです。気付かなかった描写方法を再確認の末「やっぱわかんねーよ!」と逆にゲラゲラ笑えてしまえるはず。自由気ままな作画が産んだ面白空間を10年ぶりに楽しもうよ!
……さて、問題のケースです。本作最初から知っている人は「フリクリらしいなあ」という感触を持つかも。一度開いたらもう戻れないものってあるんスよ。逆にきれいに保管したい人は、自力で手を加えてみるのも一興。奇をてらいまくったパッケージに頭を痛めるのも、また「フリクリ」らしいから困ったもんです(たまごまご)