ツイッターを観ていたら、信じられない情報が流れていた。昨日(3月14日)の夜21時ごろのことだ。

〈19日公開の「映画プリキュアオールスターズDX3」は、津波のシーンが「災害を連想させる」として、一部削除して上映される〉だって。
調べてみたら「asahi.com(朝日新聞社)」の記事にあったのだが、これっていったいどういうこと!?

まだ映画を観てないから想像でしかないけど、津波が人々を巻き込んで大惨事に……はきっとないと思う。
「絶対に諦めない」プリキュアたちが、そういうシーンを吹き飛ばして、観ている人たちに勇気を与える。きっとそうだ、観たい、観てほしいよ。

たしかに先日起こった大地震の影響で津波が起きて、多くの命や人々の生活を奪った。俺の実家も港が近く被災地だったので、家族と連絡がつくまでは不安で眠れなかった。

でも、「プリキュア」はアニメだよ? 実際に大津波が街を飲み込んでいるシーンを撮影したとか、CGでまるで実写のようにつくっているわけじゃない。「想像の津波シーン」をアニメーションとして描いているだけなんじゃないのか。

今まで、「DX3」製作に向けて「プリキュアぴあ」や「Webマガジン幻冬舎」のインタビュー企画などで大勢の製作スタッフに話を聞いてきた。
大塚隆史監督に、鷲尾天プロデューサー、梅澤淳稔プロデューサー。歴代「プリキュア」シリーズのディレクター、キャラクターデザイナーのみなさん、「DX」シリーズの脚本家、村山功さん。
エキレビでは、「ハートキャッチプリキュア!」のキュアブロッサム役、水樹奈々さんにも話をうかがった。


みんな「プリキュア」を自分の家族同然、自分のことのように愛している。見に来てくれる人たちが、心底喜んで、観終わった後には笑顔で帰ってほしい。
〈家族や友達との楽しい一日になったなら、僕らがこの映画をつくった意味がきっとあるし、僕がこの世に生まれてきた意味も少しはあるんじゃないかなぁーなんて思うんです〉(大塚監督/「プリキュアぴあ」インタビューより)

それが、〈一部削除して上映される〉のは、本当に身を切られるような思いだろう。
大塚監督は地震以降、ツイッターであまり発言していない。カットしなくてはいけないシーンの選定をしているのかもしれない。どんなに辛いだろう、苦しいだろう。想像を絶する。

ムービックス亀有で毎週土日に行われていた、歴代「プリキュア」映画のワンコイン上映、「スイートプリキュア♪」オープニング歌手工藤真由さんとエンディング歌手池田彩さんのミニライブ。日曜日に行われる予定だった「ふたりはプリキュア」DVD-BOX発売記念イベント「ふたりはプリキュア マジヤバ★おしゃべりパーティ」(もしかしたら延期の可能性も)。
みんな、災害の影響で中止になってしまったのは残念だけど、仕方ない。でも、本編を削って上映するのは……。

突然襲ってきた〈災害を連想させる〉ことにこころを砕いた結果、ずっと楽しみに待っていた人たちの気持ちはいったいどこへいってしまうのだろう。


日曜日の「スイートプリキュア♪」も放送を取りやめていた。こういう不安なときだからこそ、アニメやバラエティをガンガン流して楽しみたいという声もあった。でもその一方で被災地の子どもたちはテレビを観ることができないから放送はしないべきだという判断もある。両方わかるんだよ。
誰ひとりとして悪くない出来事だからこそ、この数日間ずっとつらかった。

でも、悲しいことだけではなかったよ。
3月14日(月)、つまり昨日から新宿駅の地下、丸ノ内線改札を通ったところにある地下通路「メトロプロムナード」で「プリキュア」21人(プラス妖精たち)のポスターをドーンと公開している。去年も行われていた人気企画!
この数日、イベントの予定もなくなって、ずっと家にいて気が滅入っていたので、すぐにポスターを見に行った。

到着したら、すでに何人かのファンが写真を撮影していた。カラフルなポスターの存在に気付き振り返る通行人も多い。「あれ、なんだっけ、レモンの」「キュアレモネードだっけ」と話しているグループもいたなあ。
プリキュアファンじゃない人がポスターを観て喋っているところを見ると、何故か誇らしい気持ちになる。


ツイッターを見ていると、イベントがなくなったことに対して、不満の声を上げるどころか、「被災地に向けて、なにか出来ることはないか」とツイートしているプリキュアファンが結構いた。
イベントが中止になり、返金されたチケット代を義捐金として寄付しようとする人。
「プリキュア」の同人イベントで、有志を集めてグッズをつくり売り上げを募金しようと計画している人。
プリキュアファンのオフ会を会員制にして、会費の一部を寄付するグループもあるみたいだ。

いろんなつらい場面で俺に勇気を与え続けてくれた「プリキュア」を通じて自分に出来ることをやるべきだ。俺にはいったい何ができるのか、そう思いながらこの原稿を書いた。(加藤レイズナ)
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