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TVドラマ「リーガル・ハイ」にしびれる。堺雅人の髪型はなぜ8:2分けなのか

2012年6月12日 11時00分

ライター情報:木俣冬

「リーガル・ハイ 公式BOOK 古美門研介草創記」(角川マガジンズ)

 作品の本質を主演の堺が語り、脚本家・古沢良太との対談でも鋭い質問を投げかける。これほどまでに作品の内容、テーマにコミットしていく主演俳優は他には渡辺謙くらいではないだろうか。

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「リーガル・ハイ」(フジテレビ火曜21時〜)に毎週ヤラレっぱなしである。
不敗神話を誇る敏腕弁護士・古美門研介の活躍を描いたこのドラマは、第8話が放送された週には今期の連続ドラマの中で視聴率3位にまで上昇を見せた。
いい意味で調子に乗り始めたこのドラマの魅力はどこにあるのか? 
脚本×演出×俳優 三位一体、鉄壁な作りと言ってしまえばカンタンだ。だが、弁護士の象徴である天秤のようにカンペキなバランスでもって描く世界は、
むしろアンバランス。
そう、古美門のトレードマークである髪型の「8:2分け」のようにアンバランスな世界を描いているところにヤラレルのだ。

その端緒は第1話の終盤にまず現れた。
「やっていようがやっていまいがそんなのは私には関係ないし何の興味もない。検察側の証拠が不十分だった。だから彼は無罪になった」
この古美門の台詞にはドッキリ。
殺人罪にまつわる丁々発止の法廷劇を展開した後、ついに無罪を勝ち取った容疑者が実は有罪だったのではないか?という不安感を、脚本家・古沢良太はプラスした。
さらにはこうだ。
「我々は神ではない、ただの弁護士だ。真実が何かなんか分かる筈がない」
シビレル。
任務遂行と報酬へのこだわりと、早口で自論をまくしたてる様子と周囲への毒舌とわがままと、さらに髪型の自己主張がとっても暑苦しい。そんなおもしろキャラを8割として、残り2割が、実はクール&ドライというのが古美門研介だ。
この役を堺雅人が怪演している。この役は俳優・堺の特性を余すところなく発揮した、現時点での最高傑作キャラと言っていいと思う。
スーパー古美門の考え方に異を唱え、有罪無罪を明らかにする真実は必ずあると信じる新米弁護士・黛真知子と古美門とが対立しながらも毎回、いろいろな案件を解決していく。この過程が、コミカルとシリアスがマーブルもようのように乱れ溶け合いながらテンポよく描かれている。
特に、黛役の新垣結衣の素朴なピュアさが、古美門のツンデレっぷりをわかりやすく露わにさせていくのがいい。
古美門にヤラレてもヤラレても、真っすぐに向かっていく健気な黛。
巨大黛が古美門に飛び蹴りしていくタイトルバックは特撮ファンでなくても心くすぐられるし。
おたまじゃくし黛が古美門の背中を見て価値観を変化させて成長していく話がサブストーリーなのかなと、第1話を見た段階では想像したが、第2話は軽いタッチの話で、アレ? 3話も同じで、こりゃ深読みし過ぎたかな……と思いはじめた頃、4話で黛の「いつか必ず倒します」と古美門への宣戦布告がキターッ。

ライター情報

木俣冬

文筆業。ドラマ小姑。著書に『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』。他、ノベライズ『マルモのおきて』、『君が踊る、夏』『シュアリー・サムデイ』、構成を担当した『蜷川幸雄の稽古場から』『堤っ』『庵野秀明のフタリシバイ』などがある。演劇、映画、ドラマ、アニメなどの面白さを日夜追求している。『SPEC〜天〜』『外事警察その男に騙されるな』公式ライター
ツイッター @kamitonami

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