「まどマギ」って略すのは、にわかという意見もあるそうですが、なんて略すのが通なんでしょ? おれは「まどマギ」と呼んでいます。
そういえば、悠木碧は舞台挨拶中ずっと「まどか」って言ってたなあ。


〈そうそう。あいつ(キュゥべえ)は目つきからしてあかんなって。「プリキュア5」のココみたいに、まどかたちを導く存在にはならへんな〉
児童文学作家、評論家のひこ・田中さんに「まどマギ」の話を聞いたことがあるんだけど、ひこさんは「マギカ」って呼んでたなー。


2012年10月6日(土)より全国劇場公開された「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編]/始まりの物語」
公開を記念し、6、7日の二日間にわたって、新宿、豊洲、札幌、博多、北九州、徳島で舞台挨拶が行われた。

新宿バルト9の舞台挨拶には、悠木碧、斎藤千和、水橋かおり、喜多村英梨、野中藍、加藤英美里が登壇。


司会はニッポン放送のアナウンサー、吉田尚記。アニメオタクとしても有名で、ニコニコ生放送のイベント「ニコニコ寄席」では、アマチュア落語家としての活動を活かし、「魔法少女まどか☆マギカ」と大工調べをミックスした創作落語「マギカ☆調べ」を披露していたそうだ。……と、ニコニコ大百科やWikipediaに書いてあっただけど、どんなのものなのかわけがわからないよ。

吉田も、「劇場版 まどか☆マギカ」舞台挨拶の司会に選ばれたとあって、ものすごい気合の入りっぷり。
10月2日に「めざましテレビ」で「まどか☆マギカ」映画の宣伝コーナーがあったことをふまえ、「今日も大きく盛り上がりましょう。こっちの世界はすげえな! と一般の方にしらしめる機会ですよ!」
大きな拍手。

「まだ上映前ですし、午前中の活動に慣れていない方も多いと思います。しかし今日は、放映当時の深夜のテンションでお願いします」
ウオー!
「もっとです! ライブ会場でサイリウムを振っている感じで!」
ウヒャーー!!
もはや、歓声じゃなく怒号のようだ。
いままで多くの舞台挨拶に来ているけど、これほどの盛り上がりは見たことがない!

大丈夫か、おれ。ついていけるのだろうか。


「まどか☆マギカ」は、去年からエキレビ!ライターのたまごまごさんの猛プッシュにより、幾度も取り上げてきた。
「血溜まりスケッチ」と呼ばれてしまうアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」「魔法少女まどか☆マギカ」のキュゥべえの異常な存在感

今回の映画についても、熱いレビューを書いてくれると思います。

本放送時(2011年1~4月)、主人公鹿目まどかの先輩魔法少女、巴マミの、例のあのシーンをきっかけに人気大爆発。
ツイッターでも毎日のようにリツイートで「まどか☆マギカ」情報がまわってきて、当時、まったく観てなかったおれでも、「マミる」ということばと、その意味は知っていたくらい。
ジワジワとアニメファンに普及していき、いまやブルーレイ&DVDの売上は60万枚。
第15回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞、第11回東京アニメアワードテレビ部門優秀作品賞、2011年度ネット流行語大賞3位の銅賞(僕と契約して、○○になってよ!)などなど、もうね、その影響は計り知れないよ。

ファンからもらったソウルジェムに紐を通してペンダントにしたという悠木。
さらに、悠木がこの日着ていた衣装はピンクのスカート。ピンクはまどかのイメージカラーだ。
ほかにも、暁美ほむら役の斎藤千和は黒のワンピース、佐倉杏子役の野中藍は赤いワンピースと、自分が演じているキャラクターカラーをさりげなく出している。
巴マミ役の水橋かおりは、巴マミの変身後に合わせたのだろう。コルセットの着いた衣装だ。

役になりきっている彼女たちがことばを発するたびに客席から、感極まった「ありがとう~!」の歓声が上がる。

まるで立候補する民主党新人のように繰り返される「ありがとう」の声。
「お客様のなかに魔法少女の方がいらしたら、いますぐ救ってあげてください」と、司会の吉田も思わずツッコミを入れていた。

「劇場版 まどか☆マギカ」は、テレビ版の総集編ということになっているけど、新カットを多数追加していて、ほとんど別物、というツイートを見た。
うーむ、どこが変わっているんだろう。魔法少女たちが戦う異空間のデザインは、変わってるっぽい。

これは、プロのまどか☆マギカマイスターであるたまごまごさんに聞くしかない。


「ほとんど全部だと思います」
え、ええー。具体的には?
「同じカットでもそのあと動きを足してますね。わかりやすいところだと、魔法少女変身シーン、街のアップ、一瞬の顔カットイン、回りこむアングルが増えている、さやかと杏子の戦闘シーン、特に杏子のカットが大幅増! あとまどかの私服シーンは意図的に入れたらしいので重要ですよ」
わー。ありがとうございます。てか、全部新規カットなんじゃないの? って感じ。杏子がなにかを食べているシーンは、りんご以外みんな変わっているという情報も!
パンフレットにあった新房昭之総監督のインタビューを読んだら、全カット変わっている理由にも納得。たしかに、それは変えないとですよ。


上映終了後のエレベーターのなかで、「はじめて観る人の意見が聞きたいねー」と熱心なファンが語り合っていた。
はじめて観た人の感想ないかなー、とツイッターで検索したのだけど、「まどか☆マギカは突如飛来した隕石により発生した宇宙生命体と戦う話」とか、「一話のゴッグ強すぎ」とか、嘘ネタバレが横行しまくり、もうエントロピーが凌駕しちゃったよ。


たまごまさんとは、新宿と、札幌の舞台挨拶の様子も情報交換。
札幌の舞台挨拶について、全部は書けないけど、ひとつだけ。
ある声優さんによると、脚本の虚淵玄さんはリアルキュゥべえ。どういうことだろう。
なんでもまともに受け入れてしまうひとなのだそうだ。たとえばドラマの展開について虚淵から意見を求められ、冗談で返したとしても全部採用されかねないという。それはこわい。
そう気づいてから、まどかたち5人が出ていればいいですねー、くらいの答えを返すようにしているそうだ。

でも、もしかしたら、劇場版で新たに採用された「冗談」があるのかもしれない。
「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [後編]/永遠の物語」は10月13日(土)から全国ロードショー。クラスのみんなには、内緒だよ。
(加藤レイズナ)