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文楽がなければ巨神兵はなかった「巨神兵東京に現わる」監督補・尾上克郎に聞く

2012年12月3日 11時00分 ライター情報:木俣冬
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(c)2012 二馬力・G

「巨神兵東京に現わる 劇場版」は「ヱヴァンゲリヲン劇場版:Q」と同時上映中

「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」愛媛県美術館で13年4月3日〜6月23日、巡回展開催

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大ヒット中の「ヱヴァンゲリヲン劇場版:Q」と同時上映されている「「巨神兵東京に現わる」。

今夏から秋にかけて東京都現代美術館で開かれた展示企画・「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」(東京展の会期終了、地方巡回検討中。愛媛県美術館で13年4月3日〜6月23日開催)で上映されたこの映画が、「巨神兵東京に現わる 劇場版」として、映像と音声を新たに調整し、「ヱヴァンゲリヲン劇場版:Q」と同時上映されている。
東京に観に来ることのできなかった人も、今や全国で巨神兵に心震せる幸福な時間を過ごしていることだろう。


すごいな、これ、どうやって作ったんだろう!
と魅入ってしまう映画が「巨神兵東京に現わる」。
短編でありながら壮大な世界叙事詩は、まさに「神は細部に宿る」映画だ。
漫画およびアニメ「風の谷のナウシカ」に登場した巨神兵が、三次元に屹立し、しかも風の谷というファンタジーの世界から現代の東京へと時空も超えたのだ。


この短編を生み出したのは、プロデューサーである、エヴァの庵野秀明とジブリの鈴木敏夫、監督である「のぼうの城」(犬童一心とのW監督)も好評の樋口真嗣というBIG3。
彼らは、デジタル全盛の今、あえて、アナログの特撮技術の粋を尽くし、マグマのように濃密で熱のある映像を作り出した。さらにそこへ詩的な語りが加わり重層的に。その言葉は舞城王太郎が書き、林原めぐみが魅惑のウィスパーボイスで語る。
神を見た、というのはこのことか、終映後の茫然自失感というのか多幸感というのかはなかなか味わえないものである。

ミニチュアで緻密に再現された東京の街に、ある日突然、巨神兵が現れる。その異様さがとてもコワい。閃光、爆発、巨神兵、飛び散る物体、巨神兵、立ち上る雲、巨神兵、瓦礫、炎、巨神兵。阿鼻叫喚と祈りが絡み合うように、巨神兵。その美しい地獄の虜になる。

そして、さらに、神よ!と天を仰がされたのは、この巨神兵の不気味な動きに、文楽の動きが参考にされていたという事実であった。
特撮博物館では、それはメーキング映像や図録で明かされていた。
本編も面白いが、展覧会会場で流していたメーキングが面白く、爆発のさせ方、キノコ雲の作り方、電線の切れ方、ミニチュアと実写の混ぜ方……などなど、樋口監督と優秀な特撮スタッフがアイデアを試行錯誤し、一秒一ミリのズレも許されないスナイパーのような精密さで仕掛ける、彼らの機敏な身体性は、注目に値する。

ライター情報

木俣冬

著書『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、『ケイゾク、SPEC、カイドク』、ノベライズ『リッチマン、プアウーマン』『デート~恋とはどんなものかしら~』

URL:Twitter:@kamitonami

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