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長瀬智也主演「クロコーチ」が挑む3億円事件は、なぜ何度もドラマ化されるのか

2013年10月11日 11時00分 ライター情報:近藤正高

『クロコーチ』(1)リチャード・ウー作、コウノコウジ画/日本文芸社
TBSの金曜10時枠でドラマ「クロコーチ」が10月11日に放映開始されるのにあわせて、原作マンガの単行本の1巻と2巻が同時発売された。原作者のリチャード・ウーは、一連の浦沢直樹作品のプロデュースを手がける長崎尚志の別名である。
それにしても警察組織の腐敗がこれでもかと描かれ、出てくるのも悪いやつらばかり。これを長瀬智也主演でどんなふうにドラマ化するのか。そして三億円事件はどのように描かれるのか、要チェックである。

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突然ですが問題です。以下の5人の俳優全員が演じたことのある“歴史上の人物”を答えなさい。
 沢田研二 岡田裕介 織田裕二 ビートたけし 宮崎あおい
正解は……記事タイトルにもあるから書くまでもないと思うが、昭和最大のミステリーともいわれる三億円事件の犯人である。

この事件は、1968年12月10日、東京都府中市において、電機メーカー工場の従業員のためのボーナス総額約三億円を、白バイ警官に変装した犯人が巧みなトリックで現金輸送車ごと奪い去ったというものだ。犯人の乗り捨てたオートバイをはじめ遺留品も多かったことから、早々に解決すると思われたが、捜査は難航、けっきょく犯人は捕まらないまま7年後の1975年、刑事上の時効が成立している(1988年には民事上も含めすべての時効が成立)。

さて、先ほどあげた俳優たちについてざっと説明しておくと、沢田研二は1975年、事件の時効を前にTBSで放映された連続ドラマ「悪魔のようなあいつ」で犯人を演じた。プロデュース・演出は「寺内貫太郎一家」などのホームドラマをヒットさせてきた久世光彦、脚本はのちに沢田主演で映画「太陽を盗んだ男」を監督する長谷川和彦が担当し、また放送にあわせて作詞家の阿久悠の原作、上村一夫の作画による同名劇画が女性誌に連載されるというメディアミックスも展開された。しかし沢田の歌った主題歌「時の過ぎゆくままに」はヒットしたものの、肝心の視聴率は伸び悩んだようだ。

上記の5人のうち岡田祐介という名前にはピンと来ない人もいるだろうが、これは現在の東映の岡田社長のこと。若いころ俳優だった岡田は、やはり時効を迎えるのに合わせて公開された、「実録三億円事件 時効成立」(石井輝男監督)で犯人役を務めた。

このほか、織田裕二は1991年放送のスペシャルドラマ「実録犯罪史 新説三億円事件」、ビートたけしは2000年放送のやはりスペシャルドラマ「三億円事件―20世紀最後の謎―」(一橋文哉のノンフィクション『三億円事件』が原作)、宮崎あおいは2006年の映画「初恋」(塙幸成監督)でそれぞれ犯人役を演じている。それにしても、ドラマ放送当時53歳だったビートたけしから、映画公開当時20歳の宮崎あおいまで、そのキャスティングの振り幅にあらためて驚かせる。

これだけ犯人の配役がバラエティに富んでいるのは、事件が未解決であり犯人像も明確に定まっていないからこそだろう。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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