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本日スタート。朝ドラ「花子とアン」の主人公・村岡花子は元祖「池上彰」だった?

2014年3月31日 07時00分 ライター情報:千野帽子

『アンのゆりかご―村岡花子の生涯』新潮文庫/村岡恵理

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2014年春のNHK朝ドラは『花子とアン』だ。
モンゴメリの『赤毛のアン』を日本に紹介した翻訳家・村岡花子(1893-1968)を、吉高由里子が演じる。
出演は他に黒木華、伊原剛志、高梨臨、室井滋、ともさかりえ、石橋蓮司、松本明子、竹山隆範(カンニング)、浅田美代子など。ナレーションは美輪明宏だ。

ヒロインの結婚後の名前こそ「村岡花子」だけど、結婚前の名前は「安東はな」。現実の村岡花子の旧名は「安中はな」だから、伝記ドラマというよりは、現実の人物をモデルにした同名の主人公が出てくる、純然たるフィクションだ。まあドラマはすべてフィクションだけど。
リアル村岡花子の夫・村岡けい三(「けい」は人べんに敬う。社会運動家である賀川豊彦・フサ夫妻の、妻のほうの従兄)の名前も、ドラマでは村岡英治となっている。演じるのは鈴木亮平。
パラレルワールドというか、歴史の二次創作みたいな設定のドラマなのだなー。

さて、このドラマの原案となったのが、村岡恵理『アンのゆりかご 村岡花子の生涯』(新潮文庫)。親本はモンゴメリ『赤毛のアン』原著刊行のちょうど100年後、2008年にマガジンハウスから出たものだ。原案は「評伝」なので、もちろん、実在の人物は現実の名前のまま。

著者は村岡花子の孫にあたる。〈祖母が亡くなったとき、私は11ヶ月の赤ん坊だった〉という。著者の姉は翻訳家の村岡美枝。ふたりで大田区にある「赤毛のアン記念館・村岡花子文庫」を主宰している。
花子の東洋英和女学校(ドラマでは修和女学校)でのうんと年上の同窓生で、バツイチで編入してきた大正天皇の従妹・柳原あき子(「あき」は火へんに華、以下同。のちの歌人・柳原白蓮[1885-1967])は、ドラマでは仲間由紀恵演じる「葉山蓮子」に変更されている。
柳原白蓮は、のちに、二度目の結婚生活を棄てて駆け落ちした「白蓮事件」で知られた。駆け落ちの相手は、これも社会運動家である弁護士・宮崎龍介。辛亥革命を支援した浪曲師・宮崎滔天の息子である。
これは長谷川時雨の評伝「柳原あき子」(杉本苑子編『新編 近代美人伝 下』岩波文庫所収、青空文庫はこちら)や森まゆみの『明治快女伝 わたしはわたしよ』(文春文庫)などに詳しく、また林真理子が柴田錬三郎賞受賞作『白蓮れんれん』(中公文庫、集英社文庫)で小説化しているほどのスキャンダルだった。
『アンのゆりかご』を読むと、白蓮が駆け落ちのさいちゅうに村岡花子に手紙を出したりしている。

ライター情報

千野帽子

文筆家。著書『読まず嫌い。』(角川書店)『文藝ガーリッシュ』(河出書房新社)『俳句いきなり入門』(NHK出版新書)など。公開句会「東京マッハ」司会。

URL:Twitter:@chinoboshka

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