朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第16週「1983」

第73回〈2月14日(月)放送 作:藤本有紀、演出:橋爪紳一朗〉

朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第73回 ひなたは条映城のお姫様になれるのか!? コンテストに出場
写真提供/NHK

※本文にネタバレを含みます

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ひなた、コンテストに出る

「大人の階段昇る 君はまだシンデレラさ♪」
H20の「想い出がいっぱい」の歌詞がぴったりな発展途上のひなた(川栄李奈)はミス条映コンテストに出る決意をした。73回はひなたが家族や友人、いろいろな人の応援を受けてコンテストに挑むまでの道のりを描く。

【レビュー一覧】朝ドラ『カムカムエヴリバディ』のあらすじ・感想(レビュー)を毎話更新(第1回〜73回掲載中)

「侍のように弱音を吐かず、こうと決めたことは命がけでやり遂げる」
これがひなたの信条である。


だが、最初は母・るい(深津絵里)は猛反対。るいは高校時代に貯金して親族に頼らず大阪で自活したしっかり者であるからひなたのふんわりしたところが気にかかるのだろう。

母に叱られ、しょげてベッドに横たわるひなたに桃太郎(野崎春 / 立はたつさき)が飲み物をもってきて頭をなでる。さりげなく桃太郎がいい子であることが伝わってくる。

高校3年生なんだからほかにやることがあると主張するるいに、錠一郎(オダギリジョー)は賞金50万円を獲得したら家計を助けられるとひなたなりに考えたのではないかなと理解を示す。さすが洞察力だけは人一倍の錠一郎である。
るいの心の声もいつも読み取っていたっけ。

「僕のときは応援してくれたやん」「僕は知ってるよ。挑戦するのはわくわくすることやで」とるいを説得する錠一郎。今は何もしていないが、挑戦することの意義は忘れていない。きっと彼の中にはまだ熾火がある。

そこは父ゆずりなのか、ひなたは諦めない。
「回転焼きがうまくできたらコンテストに出させてください」とるいに頼む。「小麦粉と小麦粉と小麦粉と…」と小麦粉しか出てこないところがご愛嬌。

るいもつつましいことを信条としているが、他者の夢を応援するのは嫌いじゃないのだろう。「回転焼きひとつにその人が出るんや」とるいはすっかり職人の風格を身に着けている。橘家の血がそうさせるのだろうか。出来た回転焼きを見て、「このちょっとはみ出す感じ。
これがひなたやんね」と愛情深く触れる。それははみだすどころか、きのこのような角のようで、それを『あさイチ』でいとうあさこは「ちょんまげ」と時代劇に掛けていた。うまい!

朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第73回 ひなたは条映城のお姫様になれるのか!? コンテストに出場
写真提供/NHK

るいの試験を通過したひなたはコンテストに応募する。まずは応募のための写真撮影。背後に錠一郎が写ったりして。こういう写真の写り方のお茶目っぷり。
オダギリジョーだからいいんだろうなあと思う。そしてかわいいポーズをとるのもAKB48だった川栄李奈だからいいのだろう。

次にひなたは一恵(三浦透子)の母・一子(市川実日子)から着付けやお茶の作法を習う。



朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第73回 ひなたは条映城のお姫様になれるのか!? コンテストに出場
写真提供/NHK

そして、1983年、8月7日、いよいよコンテスト。「条映城のお姫様を探せ!」というキャッチフレーズのコンテストだ。あの伴虚無蔵(松重豊)も見に来る。
いよいよ虚無蔵が本格的にドラマに関わってきそうだ。単なる劇中劇のカメオ出演ではない。

コンテストの参加者は、呉服屋の娘や宝塚っぽい人など様々。みんな流暢に自己紹介する。呉服屋は条映と取り引きがあるというから贔屓されそうな気がするが、果たして……。ひなたは10番目。
いよいよ自己紹介だが緊張してしまい――。妄想のようにはうまくいかない。どうなるひなた!?
(木俣冬)

『カムカムエヴリバディ』をさらに楽しむために♪







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番組情報

連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ

2021年11月1日(月)~

<毎週月曜~土曜>
●総合 午前8時~8時15分
●BSプレミアム・BS4K 午前7時30分~7時45分
●総合 午後0時45分~1時0分(再放送)
※土曜は一週間の振り返り
<毎週月曜~金曜>
●BSプレミアム・BS4K 午後11時~11時15分(再放送)
<毎週土曜>
●BSプレミアム・BS4K 午前9時45分~11時(再放送)
※(月)~(金)を一挙放送
<毎週日曜>
●総合 午前11時~11時15分
●BS4K 午前8時45分~9時00分
※土曜の再放送

制作統括:堀之内礼二郎 櫻井賢
:藤本有紀
プロデューサー:葛西勇也 橋本果奈 齋藤明日香
演出:安達もじり 橋爪紳一朗 深川貴志 松岡一史
音楽:金子隆博
主演:上白石萌音 深津絵里 川栄李奈
語り:城田優
主題歌:AI「アルデバラン」


Writer

木俣冬


取材、インタビュー、評論を中心に活動。ノベライズも手がける。主な著書『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズルポルタージュ』、構成した本『蜷川幸雄 身体的物語論』『庵野秀明のフタリシバイ』、インタビュー担当した『斎藤工 写真集JORNEY』など。ヤフーニュース個人オーサー。

関連サイト
@kamitonami