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「ガンダム Gのレコンギスタ」冒頭10分に見る富野由悠季監督の演出術

2014年8月11日 09時00分

ライター情報:藤津亮太

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『ガンダム Gのレコンギスタ』は今年一番の注目タイトルでもある。このタイミングで「TV Bros.」や「Newtype」の表紙を飾っている

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ガンダム・シリーズの生みの親である富野由悠季監督の新作『ガンダム Gのレコンギスタ』(以下『G-レコ』)の冒頭10分間が配信された。
同作品は8月23日から9月5日まで第1話〜第3話をまとめた特別先行版をイベント上映し、10月よりMBSほか「アニメイズム」枠でTV放送が始まるという予定。
これらに先立つ冒頭10分の配信で、ついに『G-レコ』という作品の一部がベールを脱いだわけだが、これが実に濃密なのだ。お行儀のよい「説明」を重ねるのではなく、観客を作品世界の中に放り込んで、現場に立ち会わせるような感覚がある映像。この語り口こそ、富野演出。
というわけで、ここでは『G-レコ』の冒頭10分をつぶさに見ながら、富野監督の演出術のポイントを解説したいと思う。

具体的な解説の前に、あらすじだけ簡単に説明しておこう。
宇宙移民と宇宙戦争の歴史となった宇宙世紀が終わり、長い時が経った。新たな時代、リギルド・センチュリー(R.C.)も1000年を超え、人類は平和な時間を過ごしていた。
R.C.1014年。
地上からそびえ立つ地球と宇宙を繋ぐ宇宙エレベータ、キャピタル・タワー。主人公ベルリ・ゼナムは、このタワーを守るキャピタル・ガードの候補生。ベルリたち候補生が、デレンセンほか教官に連れられ、宇宙エレベーターで宇宙空間での実習に向かうところから物語は始まるーー。


1、モビルスーツに追われる主役機G-セルフ
ロングショットで状況を説明することもなく、モビルスーツに追われるG-セルフを捕らえるカメラ。G-セルフが画面の中の中途半端な位置で飛行しいるところから始まるので、少し不思議な感じがする。いきなり事件の渦中に放り込まれたようなファースト・カットだ。
富野監督は部分から入って、次第に全体像が見えてくる順番で語ることが多い。「現実」というのはそこまでわかりやすく整然とはしていないだろう、という気持ちがこういう導入の作り方の根底にあると思う。
また富野監督は、そのカットが、キャラクターの決まり切ったポーズ、アニメーターの描きやすいポーズから始まるのを嫌う。そうするといかにも段取り通りにお芝居をしているようになり、意味のない「間」が生まれるからだ。とはいってもアニメーターが作画をする場合は、お芝居の最初から順番に描いたほうが描きやすい。
そこで富野監督は、カットの頭の部分を編集してしまうのだ。こうすると芝居の途中からカットが始まることになり、無駄な間がなくなって画面に動きが生まれる。

ライター情報

藤津亮太

1968年生まれ。アニメ評論家。雑誌、新聞、、パッケージソフト解説書などに執筆。NHKラジオ第一『渋谷アニメランド』パーソナリティ。

URL:Twitter:@fujitsuryota

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