またSixTONESの音楽に心を奪われた――新曲「わたし」で恋がもたらす複雑で繊細な心情を表現
(C)Sony Music Labels Inc.

■SixTONES、ニューシングル『わたし』を6月8日にリリース

<有り得ないところまで 心が動き出す>

このフレーズに心を奪われ、いつまでも響く余韻が後を引く。

6月8日にリリースされるSixTONESの7thシングル『わたし』。今回SixTONESが聴かせてくれるのは、恋をした“わたし”の複雑で繊細な心情を表現したミディアムバラードだ。

同じ恋でも、誰かを救えそうなパワーを持った幸せに満ちたものではなく、それは痛みを経験をしたからこその切なさを伴った感情。ふりだしに戻っても記憶からは消せない。胸を痛めた経験がしっかり爪痕を残し、時に邪魔をする。あなたがいなかった頃の私に戻るだけ、なんて強がった歌詞に勇気づけられても、またどうせ……。ゲームのようにリセットするとか、上書き保存とはいかない少々の残酷さ。

歌詞で描かれているのは、恋をして“わたし”が“わたし”ではなくなってしまう動揺や、踏み出せずにいる葛藤など一言では表せられない複雑な心情だ。相手の具体的な描写は登場しないものの、“わたし”の心を奪っていく。

大きな余韻残す6人の歌声

<有り得ない>が強烈なインパクトを残す「わたし」。SixTONESのメンバー6人の歌声は、一つとして同じものはなく、それぞれがつぶやくように、語りかけるように、そして心の中で叫ぶように……6人が演じるようにして聴かせる。その歌声は胸の深いところまで響き渡り、余韻を残す。

レコードに針を落とすかのようにして幕を開ける物語。繊細さと強さの両面を感じるピアノが印象的で、これまでの楽曲に比べれば音はシンプル。<有り得ないところまで 心が動き出す> 松村北斗のガラス細工のような繊細さを纏った歌声で始まる。京本大我が語りかけるように紡ぐ。語尾のわずかなゆれが切なく響く。

Aメロはジェシー。ひとり暗い部屋で物思いにふけるような、寂しさをまとった声。過去の経験が邪魔をする、そんな本音を吐き出すように優しさも含んだ声で続ける田中樹森本慎太郎の<いっそほら>も、諦めも含んだ声でため息をつくように。そして、森本と京本によるユニゾンからは、自問自答する様子を。続く高地優吾のやや低めの声は、自分を現実に引き戻すような大人らしい緊張感をまとう。

そして高地から始まる2番。リレー小説のように6人の声でストーリーを紡ぐ、世界観にピタリとはまる絶妙な歌割だ。2番のサビ前、京本が心の叫びをぶつけるような歌唱から、京本と松村のユニゾンが物語の深部へと誘う。SixTONESの1stアルバム『1ST』(初回盤B:音色盤)に収録のユニット曲「ってあなた」でも2人の歌声が織りなす儚い世界観を披露しているが、その相性の良さが再び。

繊細で美しくも、触れたら壊れてしまいそうな危うさも含んだ“わたし”。そしていつまでも余韻を残すのが、落ちサビの<有り得ない>。切なさ、弱さ、心の叫び、芽生えた感情を押し殺すかのようなもどかしさも内包した田中の歌声に再び胸が締め付けられる。

この6人だからこそ実現した作品

歌詞の内容と楽曲の持つ世界観を、情景がありありと浮かぶ説得力のある歌唱。6人の歌声によって立ち上がる物語は、MVの世界観とはまた違った光景が広がる。音楽番組や雑誌に登場する度にファッショナブルな衣装を着こなして魅了するように、音楽でも楽曲の雰囲気に合わせた声色と表現力で聴かせてくれる。

本稿に挑むにあたり、MVに登場する花束を再現してみた。季節柄、用意できない花もあったが色味だけでも揃えた。細くまっすぐに伸びる茎から、小さな花びらが重なりあった繊細な花を咲かせるデルフィニウムと、少々尖った一面を表すかのような独特な造形のニゲラ。あまりブルーの印象がないスイートピーは、仮面をつけた“わたし”のよう。そんなブルーの花と一緒に束ねられたラナンキュラス。青さのなかにぼんやりと灯りを灯すかのように淡いオレンジが存在する。それぞれの花言葉もさることながら、束ねた花々からも「わたし」の世界観が感じられた。

6人がそれぞれのパートで音色を放ち、確かな印象を残しながらも、ひとりの“わたし”を表現する。6人全員が歌い、演じるSixTONES。ソロ活動もするけれど、やっぱりこの6人――そんな彼らだからこそ実現した作品と言える。「わたし」との出会いを通して、またSixTONESの音楽に心を奪われた。
(柚月裕実)

【視聴】SixTONES - わたし[YouTube ver.]/ Watashi [YouTube ver.]
<収録曲など詳細>
SixTONES『わたし』商品概要

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