朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第14週「1965-1976」
第63回〈1月31日(月)放送 作:藤本有紀、演出:二見大輔〉
※本文にネタバレを含みます
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ひなた(新津ちせ)登場。るいとジョーの黙祷の表情にも注目
「新しいステージ、新たな魅力を届けて生きたいと思います」と語る堀之内礼二郎CP。“朝ドラ”こと連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK)第14週、いよいよ3代目ヒロイン・ひなた(新津ちせ)が登場。【レビュー一覧】朝ドラ『カムカムエヴリバディ』のあらすじ・感想(レビュー)を毎話更新(第1回〜63回掲載中)
第63回はひなたの夏休み。夏の風物詩が出てくる中に甲子園の黙祷がある。そのときのるい(深津絵里)の表情が印象的。かなり長い間、正面アップで映っていた。この表情にはどんな意味がこもっているのか。演出した二見大輔さんに聞いた。
その現れがるいの長い正面カットです。視聴者の方々にるいと一緒に過去を感じてほしいと考え、あまり説明的にはしないながら、長く使用しました。黙祷のサイレンはおよそ1分間続くのですが、撮影でも、1分まるまる流しました。本当は必要な分だけ撮影すればいいのですが、そこは大事にしたいと思って、ずっとスタジオでサイレンを流しました。
それもあって、るいだけでなくジョーもいろんな過去を思い出して、それが表情に現れたのではないかと思っています。過去を経験した上で、るいが母親としてどうなるか、ジョーが父親としてどうなるのか、視聴者の方々もるいたちと共に時を紡いでいただけたら嬉しいです。
るいとジョー(オダギリジョー)もすっかりいいお父さんとお母さんという印象。現場の待ち時間でも深津、オダギリ、新津の雰囲気がよく、「それをそのまま撮影したいくらい」と二見さん。家族を作ることを不安に思っていたるいが幸せな家庭を築いていることが視聴者としても嬉しい。
子どもの時代、テレビの時代
京都に来て、るいが妊娠、出産、そしてひなたはあっという間に10歳、小4に。時代は70年代で、ジョーはチューリップハットをかぶっている。オダギリジョーだからこそ着こなせるファッションという感じ。おしゃれだけれど、相変わらずこぼしている。10年経っても病の原因も治療法もわからないようだ。ひなたは時代劇好きに育っている。その元になったのはジョーが観たモモケンの映画だが、二代目モモケン(尾上菊之助)が黍之丞を継いでいる。
河原でのラジオ体操も岡山・るい時代を思わせる。一子(市川実日子)の娘は一江で、ひなたの親友、吉右衛門(堀部圭亮)と初美(宮嶋麻衣)の子・吉之丞はガキ大将に育った。隔世遺伝だろうか。
朝ドラは『水色の時』(1975年4月7日〜10月4日)をやっている。これが最初の半年間の朝ドラ。以降、前期と後期、半年ごとに新作が作られるようになった。主演は大竹しのぶ。
全体的なムードが70年代のちゃぶ台コント時代に突入してきたような……。74年に『寺内貫太郎一家』が人気で、75年にパート2が放送されている時代なので、そんなムードを意識しているのかもしれない。『欽ちゃんのドンとやってみよう!』がはじまったのも75年。『カックラキン大放送』も。
(木俣冬)
【前回の朝ドラ】『おかえりモネ』の全レビューを見る
番組情報
連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
2021年11月1日(月)~<毎週月曜~土曜>
●総合 午前8時~8時15分
●BSプレミアム・BS4K 午前7時30分~7時45分
●総合 午後0時45分~1時0分(再放送)
※土曜は一週間の振り返り
<毎週月曜~金曜>
●BSプレミアム・BS4K 午後11時~11時15分(再放送)
<毎週土曜>
●BSプレミアム・BS4K 午前9時45分~11時(再放送)
※(月)~(金)を一挙放送
<毎週日曜>
●総合 午前11時~11時15分
●BS4K 午前8時45分~9時00分
※土曜の再放送
制作統括:堀之内礼二郎 櫻井賢
作:藤本有紀
プロデューサー:葛西勇也 橋本果奈 齋藤明日香
演出:安達もじり 橋爪紳一朗 深川貴志 松岡一史
音楽:金子隆博
主演:上白石萌音 深津絵里 川栄李奈
語り:城田優
主題歌:AI「アルデバラン」
木俣冬
取材、インタビュー、評論を中心に活動。ノベライズも手がける。主な著書『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズルポルタージュ』、構成した本『蜷川幸雄 身体的物語論』『庵野秀明のフタリシバイ』、インタビュー担当した『斎藤工 写真集JORNEY』など。ヤフーニュース個人オーサー。
@kamitonami