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「妖怪ウォッチ」放映休止、何がどうマズかったのかよーく考えてみた

2014年11月10日 10時50分

ライター情報:多根清史

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「妖怪ウォッチ」Nintendo 3DS/レベルファイブ

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●「なぜ休止?」より「ついに休止」

どこのお店でも時計型おもちゃは入荷してすぐ売り切れ、親と子供が「商品を探すこと」そのものがゲームになってる感のある『妖怪ウォッチ』。当初予想の5倍もの売上が予測されるスゴい勢いですが、アニメ版の第39話がAT-Xとバンダイチャンネルで相次いで放送休止。テレ東では一度は放送されたものが、どうしてこうなった?
ファンも色めき立ちましたが、「なぜこんな良い子の番組が!?」という声はめっきり聞きません。アニメ版『妖怪ウォッチ』は前からきわどいパロディやりたい放題で、今までギリギリのラインを綱渡りしていたから。「ついにアウトだったか」「いつかはこうなると思っていた」と深くうなずく向きばかりだったりします。
よって正しい心配の仕方は×「なぜ休止になったか」○「どのネタがマズかったのか」、コレです!

●親子というよりお祖父さんと見るアニメ?

家庭の雰囲気がどんよりしている、コンビニで買い食いしちゃう、夏休み明けにクラスメートがグレてる……なんでもかんでも妖怪の仕業だ!というふうに、本作の妖怪は「あるある」ネタを擬人化したキャラクター。その中にはみんなが知ってる共通の話題、つまり芸能人や映画、他のアニメや漫画などのパロディが混じりやすい構造があるわけです。
もも上げだぁ!唐揚げじゃないぞ!とエクササイズを指導してるブリー隊長は、どう見てもかつてブームになったビリーズブートキャンプが元ネタ。このブリー隊長がジバニャン達をしごくエンディングが毎回流れているスゴさ。
そして劇中で妖怪ウォッチを開発した設定になってるのは、サメの妖怪のスティーブ・ジョーズ。ヨップル社の社長で黒無地のタートルネックとジーパン姿で流暢にプレゼン、手にしているのは新型の時計。ということで、アップルウォッチの発表を予言していた!と騒がれた一幕もあったりしました。ついでにジョーズとは言うまでもなく動物パニック映画のアレで、二重の意味で攻めてます。
主人公ケータくんの友達で小柄なカンチと力持ちのクマ=ギザギザ頭とガキ大将のあの人達へのオマージュと言われますが、人気者のジバニャンも玩具の「おしゃべりジバニャン」では「僕はちにましぇーん」と101回プロポーズしそうなボイスをおしゃべり。てっきりアニメだけのネタ台詞かと思ったら、商品化しちゃう勇気!
親子ともに楽しめる良質なアニメと言われる『妖怪ウォッチ』、おそらく正確には「大人と一緒に見ないと子供が置き去りにされるアニメ」でしょう。

ライター情報

多根清史

1967生。『オトナアニメ』(洋泉社)スーパーバイザー/フリーライター。『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)など。

URL:Twitter:@bigburn

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