「ジャイアンツに入りたいですね。サンフランシスコじゃないですよ」

昨日、都内で行われたニッポン放送主催「ショウアップナイターCONFERENCE2015」で、今季、カンザスシティ・ロイヤルズの一員としてワールドシリーズでも活躍したメジャーリーガー青木宣親が登壇。
現在、FA(フリーエージェント)で来季の去就が注目される中、「ジャイアンツに入りたい」というサプライズ発言が飛び出した。

もっともこれは青木流のジョーク。
「あ、こんなこと言ったらヤクルトの社長に怒られちゃいますよね。ジョークですよ、ジョーク……」と訂正する。
ただ、この「ジャイアンツ入り」発言を引き出したのは、同じくこの日ゲストで登壇した他ならぬジャイアンツ・原辰徳監督の神通力だろう。

「来年、まだ決まってないらしいね」と語りかけ、会場の笑いを誘う原監督。

さらに「いくつになった? 32? まだまだこれから。脂が乗り切っています。来年もアメリカで大活躍してくれるものと期待していますが、ゆくゆくは日本に戻ってきてね。その時には(日本にも)ジャイアンツといういいチームがありますから、お互い強くなっていきましょう!」と畳み掛け、“グータッチ”を交わした。

その様子はさながら入団会見のよう。
青木も「グータッチ、久しぶりで緊張しました。
WBC以来です」とはにかむ。

そう。この2人の組み合わせといえば、WBC2009での世界一連覇をどうしても思い出してしまう。2人のトークでも改めてあの大会を振り返る。

「2009年のWBCでは彼がもっとも打ってくれました。最初、イチローを3番にして、彼を1番にして。
でも最初イチローが調子が出なくてですね。イチローを1番に戻して彼を3番にして。でも、イチローはそこでもあんまり打たなかったな(笑)。最後の最後はいいところで打ってくれましたが、一方で、終始安定して活躍してくれたのが青木選手でした。非常に印象に残っているいい選手です」

あえてイチローの名を出すことで青木の貢献度の高さを語る原監督。
一方の青木は、今季のア・リーグ、ワイルドカード争い、アスレチックスとのワンデイプレーオフで、WBC以来となるある経験をしたという。


「負ければ終わり、という試合。自分は(勝てると)信じてましたけど、実際に信じていたことが現実になって、いつもよりも興奮しながらプレーしていました。離されても追いついて、延長でまた向こうが勝ち越したんですけど、それもひっくり返す……最後まであきらめない、ということがこれほど大事なのかと痛感しましたね。自分もプレーしていて時間が止まるような感覚に襲われました。すべてがスローモーションに見えたんです。そんな経験って今まで1回だけ。
それが、WBC決勝戦でのイチローさんの決勝打のとき。あのときもすべてがスローモーションで見えたんですよ」

そんな極限状態を経てメジャーリーガーとして成長を遂げた青木の次なる目標は、もちろんチャンピオンリングだ。
「シーズン当初は見向きもされなかった僕が、ポストシーズン中、カンザスで食事をしていたら、レストランから出ようとしただけで拍手が起こった。今季の経験を生かして、来季こそワールドチャンピオンになれるよう頑張りたい」と豊富を語った。

一方の原監督も、ファーストにコンバートする阿部慎之助や抑えに正式転向する澤村拓一ら来季の陣容について語りながら、豊富ならぬ来季の初夢を語る。

「僕の来季の初夢は、慎之介が三冠王を取る! そして澤村がセーブ王。
これが“表の初夢”。そしてもうひとつ、表があるなら“裏の初夢”として、大田泰示4番、小林(誠司)が慎之介を上回る個性的なキャッチャーに育つ……これをそれぞれ主と裏の初夢として見たいなぁと思っています。これは日本テレビでも言ってません! 他ならぬニッポン放送ですから」

この日は他にも、今季限りで現役を引退し、来季からニッポン放送ショウアップナイターの解説者に転身することになった里崎智也も登壇。満員の中で引退試合を行えたことへの感謝と、捕手として「史上最大の下克上」を成し遂げ、さらにはWBCで世界一も経験した嗅覚を解説にも活かしていきたいと豊富を語った。

今季、喜びと悔しさの両面を味わった男たちが、来季はどんな活躍を見せるのか。今から楽しみでならない。
(オグマナオト)