
137話は、こんな話
いなくなった匠(小山春朋)は、押し入れの中にこっそり隠れていた。
実は、そんなに漆の仕事をやりたいわけではないにもかかわらず、圭太(山崎賢人)に過度な期待をされたことがプレッシャーだったのだ。元気のない匠をどうしたらいいか、希(土屋太鳳)と圭太は悩む。
今日の、家族
“子供はいっぺんくらい家出する”ものだと持論をぶつ蔵本浩一(篠井英介)に、マキ(中川翔子)が、一子(清水富美加)は二年半も家出していたと続けます。
徹(大泉洋)なんて、子供じゃないけど、何年家出しているのでしょうか。
匠の家出は徹似か。また、匠が失敗を恐れるのは、夢を見なかった慎重な時代の希似かと思われます。どうやら匠は、家族のマイナスな部分を継いでしまったようで気の毒ですが、漆塗るのは巧い(好きではなくても)のでいつか何かで才能が芽生えることを祈ります。
肉親に似ているということでは、徹志の優しさはみのり(門脇麦)に似ていて、歩実(横山芽生)の大暴れは希に似ていると、台所でご飯をつくりながら女たちがひとしきり盛り上がります。
その一方で、元治(田中泯)が匠を心配するも、家族に任せてと一徹(葉山奨之)に言われてしまうのが切ないです。
血が繋がってなくても家族・・・とところどころで感じさせておきながら、こういうところでは隔たれてしまうとは・・・。
終わりに、匠についてみんなが深刻に悩んでいるとき、文(田中裕子)が将棋をしていて「大手」とひと言。これによって、深刻さが緩和されてしまいますが、家族会議に入れない元治と文の所在なさが出ていて、意味深です。
入れてあげて、二人も家族会議に! 匠を発見したきっかけは文さんのお手柄なのですから!
今日の、なぜ?
匠が行方不明でみんなが必死で探しているとき、たなかいさおさんという方の愛犬がいなくなったお知らせが流れてきます。一瞬、子供がいなくなったときにこういうカモフラージュで知らせるのか、と思ってしまいましたが、犬でもアナウンス流してもらっているのだから、匠も警察に頼もうと希に思わせるきっかけだったようですね。
並列で描くとは、なんて平等意識が強いのでしょうか、「まれ」は。
今日の、名場面
匠問題が深刻なはずなのに、なんとなくまったりした印象の137でしたが、子供たちとケーキ作りの場面は問答無用にほのぼのするので、それだけでいい、と思えてしまいます。
(木俣冬)
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いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))