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ドラマで姫始め。ストローの袋で男女の営みを表現「富士ファミリー」

2016年1月3日 09時50分 ライター情報:木俣冬
お正月からいいドラマ見たなあ〜と、幸せな気分になった。

新春スペシャルドラマ「富士ファミリー」(NHK/1月2日よる9時〜)は、脚本を、「すいか」「野ブタをプロデュース。」「Q10」などで人気の木皿泉、演出が、「サラリーマンNE O」「あまちゃん」の吉田照幸、出演者に、小泉今日子、薬師丸ひろ子、吉岡秀隆、片桐はいりなど名優がたくさんそろったうえ、マツコロイドまで登場するという豪華な88分のドラマだった。
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富士山のふもとにあるコンビニ「富士ファミリー」に集う人たちの人生を、優しく、あたたかく、ユーモラスに、ひたすら肯定的に描くその眼差しは、早くも七草粥食べている気分にさせる。とはいえ、登場人物は、前述したとおり、名店のおせち料理みたいでもある。

富士ファミリーで生まれ育った美人三人姉妹、鷹子(薬師丸ひろ子)、ナスミ(小泉今日子)、月美(ミムラ)。ナスミは若くして亡くなり幽霊になって登場。月美は専業主婦で、鷹子が店を継いでいる。一緒にお店を切り盛りしているのが、笑子バアさん(片桐はいり)とナスミの旦那・日出男(吉岡秀隆)。彼らのそれぞれの物語がナスミのメモに書かれた、四葉のクローバーや懐中電灯などといった7つのキーワードを使って描かれる。それはオムニバスというほど明確に切り分けたものではなく、それぞれの物語がいい案配につながっている。

彼らと物語をつないでいるのは、生きていること。ただそれだけ。年老いた人も、平凡な人も、なんとなくズルズル生きている人も、嘘ついてる人も、幽霊も、生きていていいのだとドラマは語る。その象徴が、小さくて、それほど儲かっているわけでもなく、いつなくなってもおかしくないお店・富士ファミリーであり、身寄りのない笑子バアさんだ。それだけだったら、ありがちといえばありがち。このドラマでヤラレタと思わせたのは、吸血鬼とアンドロイドと、ストローの袋でできた男女の人形である。

まずは、吸血鬼。夫も子供もいる身の月美がたまたま蕎麦屋で会った男性に部屋に誘われる。彼は吸血鬼だと言い、永遠の命がほしくないかと迫ってきて・・・。そのとき彼女が語る家族のささやかなエピソードがいい。作家が日々の生活をいかによく観察しているかがわかるものだ。
次に登場するのがアンドロイド。ずっと一緒に店をやっていくかと思っていた鷹子と日出男に新しい生活がはじまりそうで、寂しくなったおばあちゃんが出会ったのは、介護ロボット(マツコロイド!)。

ライター情報

木俣冬

著書『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、『ケイゾク、SPEC、カイドク』、ノベライズ『リッチマン、プアウーマン』『デート~恋とはどんなものかしら~』

URL:Twitter:@kamitonami

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