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徳川様ってどなた様?「あさが来た」103話

2016年2月2日 09時50分

ライター情報:木俣冬

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朝ドラ「あさが来た」NHK 月〜土 朝8時〜)2月1日(月)放送。第18週「ようこそ! 銀行へ」第103話より。原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:佐々木善春
イラスト/小西りえこ

103話はこんな話


明治24年、加野銀行は万事順調、実業家として注目されているあさ(波瑠)
だったが、悩みは、ひとり娘・千代(小芝風花)が反抗的なことだった。


母と娘の確執


17週の週刊平均視聴率は24.7%(ビデオリサーチ調べ 関東)で、1週から17週までで2番目に高く、16週で人気キャラ五代友厚が死んでも、問題なかったようだ。一部の個性派キャラにだけでなく、物語にファンがついていることの表れだろう。新次郎(玉木宏)が強いのかもしれないが。

18週は、いよいよ、あさ念願の銀行業が本格化。
金融ドラマになってしまうと、NHKなら土曜ドラマ、他局だと日曜劇場(あれです、半沢なんとかね)のような男祭りの渋いイメージが浮かんでしまうが、朝ドラは、あさが洋装で華やかさを振りまく。
さらに、着物姿の新次郎と洋装のあさという美男美女の夫婦が、大阪の町を闊歩し、注目の的になっているという描写で、眼福。
時代を牽引する無敵のあさ。
ところが、ひとりだけあさに批判的な人物がいた。
娘の千代だ。
彼女だけがいやに母親に手厳しい。
なんでもうまくいってるあさを批判する人物を一人置くことで、視点が多様化するし、見てる側としても、恵まれたあさへの嫉妬を感じないで済むという寸法だ。
それだけでなく、千代は、新世代のチルドレンとして描かれる。
日本を大きく変えた明治維新を知らず、「徳川様ってどなた様?」と言い放ち、
それを乗り越えてきたあさの頑張りなんて、まるで理解しない。
「お母ちゃんの話ってほんま面白うないな」とまで言う。
現代の戦争を知らない子供たちと、戦争を知っている世代と同じなのだなあと、
胸が痛い。千代の場合は、ほんとは寂しさの裏返しなんだろうけれど。

うめ(友近)が前進し続けるあさに「いつまでも大きくなり続けなあかんもんなんだすやろか?」と尋ねるのも印象的だ。
江戸から明治にかけてのニュータイプだったあさ、オールドタイプだったがあさに感化されて変わっていく新次郎(玉木宏)、ニュータイプだが志半ばで倒れた五代、オールドタイプとして退場していく雁助(山内圭哉)、さらに新世代の千代・・・と様々な人間がいる中で、うめはニュータイプの活躍を見つめながら自分はオールドタイプとして人生を全うする覚悟でいる。
登場人物の行動と関係性が、大きな時代の縮図になっているところがうまい。
あさが、歴史を知らない千代を見て、学問の必要性をいっそう感じることになるのも、よくできている。
ただ、誰かが来た ところで次回に続くパターンは、やや使い過ぎか。
(木俣冬)

木俣冬の日刊「あさが来た」レビューまとめ読みはこちらから
イラスト/小西りえこ
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ライター情報

木俣冬

著書『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、『ケイゾク、SPEC、カイドク』、ノベライズ『リッチマン、プアウーマン』『デート~恋とはどんなものかしら~』

URL:Twitter:@kamitonami

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