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「ちかえもん」今夜6話。どうするお初? そして忠右衛門は

2016年2月18日 09時50分 ライター情報:近藤正高
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NHK総合の木曜時代劇「ちかえもん」(木曜よる8時~)の劇中で、ここしばらく赤穂浪士の物語に取り組んでいた近松門左衛門(松尾スズキ)。先々週放送の第4回では、油問屋の黒田屋九平次(山崎銀之丞)を義士の残党・寺坂吉右衛門だと思いこみ、相方の万吉(青木崇高)と突撃取材までして、いかにももっともらしい話を聞かされていた。それをそのまま書いてしまえば面白い台本ができそうなものを、しかし近松はそうしない。毎回ラストの彼の決まり文句を借りれば、やはり「わしのプライドが許さん」からか。
近松門左衛門の『冥途の飛脚』を下敷きにした映画「浪花の恋の物語」(内田吐夢監督、1959年)。同作において片岡千恵蔵演じる近松が、遊郭で遊女の話をこっそり聞くなどして現実の事件を同時進行で劇化していくさまは、「ちかえもん」と通じるところがある

先週放送の第5回はこんな話


けっきょく原稿は行きづまり、毎度おなじみ“近松脳内劇場”「赤穂義士」ではとうとう近松自ら義士に扮して、ミュージカルよろしく「赤穂浪士の場合は~」と歌い出す。元歌は新谷のり子の「フランシーヌの場合」(1969年)だ。歌声は美声ながら、物語がすでに破綻していることはあきらか。その書きかけの原稿を母・喜里(富司純子)に見られ、「もはやまともな筋を書く気はありませんね」とあきれられる始末。

しかし竹本座の座主・竹本義太夫(北村有起哉)は、劇場が経営危機に陥っているだけに、近松の新作をいまかいまかと待っているはず。さっきも家まで義太夫が催促に来ていたと喜里から知らされ、近松はあわてていつもの遊郭・天満屋に避難する……のだが、さすがにそのへんは義太夫も心得たもの。店のなかでも近松は逃げ回ることに。その途中、ひょんなことから遊女のお初(早見あかり)が身の上を告白する場面に遭遇してしまう。

平野屋の若旦那・徳兵衛(小池徹平)と恋仲だったはずのお初だが、じつは徳兵衛の父・忠右衛門(岸部一徳)こそ彼女の父親を死に追いやった張本人であった。

お初の父・結城格之進(国広富之)は蔵役人で、商人の忠右衛門とは同じく人形浄瑠璃好きということもあって公私にわたり親しくしていた。あるとき彼は忠右衛門が不正な取引を行なっていることを知り、友人として忠言する。だが、忠右衛門はこれを聞き入れるどころか、格之進を罠に陥れる。結果、格之進は切腹、お初の母もそのあとを追うように病死し、一人娘のお初は強欲で評判の伯父に預けられた末、女郎屋に売られてしまう。彼女が徳兵衛に近づいたのも、ひとえに父の仇である忠右衛門を討つためであった。

すっかりお初の話に惹きこまれた近松、こうしてはいられないと紙と筆を探し出し相関図を書き留める。物書きの性であろう。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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