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踊り狂う5万人の荻野目洋子。美濃加茂のダンシング・ヒーロー盆踊りを見てきた

2013年8月27日 11時00分

ライター情報:とみさわ昭仁

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『ダンシング・ヒーロー/荻野目洋子』(1985年11月発売/ビクター)
元曲はアンジー・ゴールドが1985年にリリースした『Eat You Up』で、これに篠原仁志が日本語訳詩をつけ、馬飼野康二が編曲を担当した。歌手として自分の曲がこれほど末永く、しかも特別な状況下で愛されるというのは、とても幸せなことだと思う。

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あれは何月だっただろうか。ツイッターで知人がおかしなことをつぶやいていた。

「岐阜県の美濃加茂市では、盆踊りで荻野目洋子の『ダンシング・ヒーロー』がかかる」

そのこと自体にはそんなに驚きはない。何も民謡だけが盆踊りじゃないのは日本の常識だもんね。45年前、ワタシが小学生時代を過ごした東京の下町でも、『オバQ音頭』だの『21世紀音頭』だのといった珍奇な曲が盆踊りの定番ソングとして繰り返しスピンされていた。

ところが、問題は『ダンシング・ヒーロー』である。

『オバQ音頭』や『21世紀音頭』は、あくまでも“音頭”だ。音頭のリズムで太鼓がドンドコ鳴ってれば、誰だって違和感なく踊ることが出来る。だが、『ダンシング・ヒーロー』はどうなのか? 荻野目三姉妹の末っ子で、小学生時代に一旦ジュニアアイドルグループ「ミルク」としてデビューしたけどとくにパッとせず解散して、高校生になってから再デビューしたけどやっぱりそんなに売れるわけでもなく、伸び悩んでいたところに7枚目のシングル『ダンシング・ヒーロー』でユーロビートに挑戦したらこれが大ヒットしちゃったという運命の曲。

たしかに売れた。32万枚以上は売れたし、アイドルポップスの歴史に残る名曲だとも思う。でも、ユーロビートで? 盆踊りを?

「美濃加茂」「盆踊り」で検索すると、すぐに出てくんの。美濃加茂市のおん祭(おんさい)の動画が


これを見ると、たしかに『ダンシング・ヒーロー』で地元の皆さんが異常な盛り上がりを見せている。なんだろうこれは。盆踊りといえばたしかに盆踊りなんだけど、何かそれだけじゃないものを感じる。

調べてみると、今年の『ダンシング・ヒーロー』盆踊りが行なわれる「おん祭MINOKAMO 2013夏の陣」は8月17日だというではないか。何かおもしろそうなことをやっていたら、とりあえず現場に行ってみる主義のワタシとしては、こりゃ現地まで行くしかない! と思った。

で、行ってきました岐阜県・美濃加茂へ。

美濃加茂市は、岐阜県の中にありながら市の形状自体も岐阜県とよく似ている、魚でいうところの「鯛の鯛」みたいな不思議な土地だ。今回、クルマで行ったので市内をひと通り流してみたが、活気がある町だな、という印象を受けた。お祭りの日だから人出が多いのは当然かもしれないが、とにかく若い人が多かった。そして外国人も。観光客ではなく、明らかな地元民として。

あとで調べたところによると、美濃加茂市には90年代の後半から日系ブラジル人や在日フィリピン人などが多く移り住むようになり、いまでは市の人口の1割を占めるのだという。

ライター情報

とみさわ昭仁

1961年生まれ。ゲーム開発、映画評論、コレクター研究、古本屋店主、スカジャン制作、DJなど。神保町特殊古書店マニタ書房は、不定休で週のうち半分くらい営業。

URL:akihito tomisawa index

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