アリーナツアー、幕張メッセ公演の模様をお届け!
| 東京事変 live tour 2010 ウルトラC | 2010.05.12(WED) at東京国際フォーラム ホールA |
東京国際フォーラムで開催された、全国18カ所22公演に渡るツアー【東京事変 live tour 2010 ウルトラC】の東京公演の2日目。ラヴェルのバレエ音楽「ボレロ」のリズムに併せて手旗を振る観客に迎え入れられた彼等のパフォーマンスは、とても言葉では言い表せられない程、理屈を超えた感動をもたらしてくれた。
ステージセットはシンプルだが、音色とグルーヴ、照明は非常に変化に富んでいた。英語詞の曲では字幕が出たり、ファミコンの「ハイパーオリンピック」や「スパルタンX」のような、8bitのユニークな映像もあった。だが、ものすごく一生懸命に考え、どんなに長い文章を書き連ねても、身体性を伴った5人のプロフェッショナルな演奏には相当しようもない。それでも、あえて言語化するとするならば、この日の1曲目に演奏された英語曲「勝ち戦」で歌われているように、ビリビリとしびれたままの2時間だったように思う。
観客が熱狂した「FOUL」で展開された一瞬の闇。ソロ名義のドラマ主題歌「ありあまる富」の後に歌われた「生きる」の独唱。まるで、パリ・オペラ座のエトワールを目指し、死ぬまで踊り続けたダンサーの生涯を全身全霊で物語るかのような歌声と、最後に真っ白な光が満ち溢れていくという演出には、1曲で2時間の映画を見た後のような濃密な余韻が残った。時には、メンバーの顔が見えない程のほのかな灯りの中から浮かび上がってくる、美しく情熱的な音楽に耳を澄ませていると、身体全体が耳になってしまったかのような錯覚も覚えた。“ウルトラC”バージョンにリアレンジされた「遭難」や「修羅場」、トップアスリートへの憧れと尊敬を綴った「スーパースター」を経て、各メンバーの音が前面に迫る「某都民」で、それぞれの自我では操作出来ない、厚みと奥行きをもった一つの“ヴォイス”が一度解体された。最後に、「貴重なお時間を割いて来て頂き、どうもありがとうございます」と椎名が語り、 “今、この時”を際立たせる「雨天決行」を傘を差し歌って、本編は終了した。
アンコールでは、伊澤と浮雲によるコーラスの上をなめらかに踊るチュチュ姿の椎名のフェイクに心地良さを感じた「スイートスポット」に続き、「とうとう念願かなって、丸の内でお目にかかれて光栄です」と語った後、東京公演のみとなる「丸の内サディスティック」を披露した。メンバーも観客も飛び跳ねた「閃光少女」を経て、最後に伝統的なリズムながらも大胆で独創的な輝きを放つ「極まる」を歌った。<さようなら 猥褻な霧に少しずつ 埋もれて行く 遠く>という歌詞を体現するかのように、歌い終えた椎名が、メンバーが、深い霧の中に消えていった。夢のような時間ではあったが、今、自分が生きているという実感をフィジカルに感じさせてくれる舞台であったように思う。8月にはこのツアーの模様を収めたライヴDVDがリリースされることが決定したので、自分の目と耳で体感し、実際の体験が与えてくれる影響のすごさを感じて欲しい。
(取材・文/永堀アツオ)