投資先を選ぶとき、決算や株価といった「数字」だけを見ていませんか。杉村太蔵さんが何より重視するのは、「経営者の人間性や企業姿勢」です。
株主総会での受け答えやIR、果ては社員の口コミから、その本質を見極めることが長期投資の成功につながるといいます。

『杉村太蔵の推し株「骨太」投資術』では、元国会議員、コメンテーターを経て投資家としても活動する杉村さんが、独自の企業分析の視点を紹介しています。

今回は本書から、株主や社員への向き合い方を手がかりに、「この会社を一生応援したいか」という長期保有に値する企業をあぶり出す評価基準を紹介します。

■経営者が社員や株主から信頼されているか?
「経営者が信頼できるかどうか」です。これはどういうことかというと、やっぱり、経営者が「従業員に対して誠実かどうか」。これが基本なんですね。さらにもうひとつ、「株主に対して誠実かどうか」。この2つの誠実さを持っているかどうか……この2つが、その経営者を信頼できるかどうか判断する大きなポイントになります。

社員の声を知るという意味では、主に就職・転職用に用いられている「OpenWork」や「転職会議」、あるいは「エン カイシャの評判」といった口コミサイトがじつにおもしろいんですよ。私もけっこう見てチェックしています。従業員のリアルな声が書かれていて、「この会社の経営者は社員を大切にしているか」がある程度見えてくるんです。

■株主総会とIR資料に表れる経営者の「誠実さ」
株主に対して誠実かどうかを見極めるには……やっぱり「株主総会」です。
株主からいろんな質問が飛びますよね。それに対して、逃げずに、現状の課題や将来への不安も含めて率直に語る経営者。そういう人は信頼できます。

リスクについても、ちゃんと正面から説明して、「こういうリスクがあります。でもこうやって回避していきます」と明確に伝えてくれる。こういう姿勢があるかどうかが、経営者を見極める大事なポイントだと思います。

そして株主への誠実さを知るうえで「IR(投資家向け情報)」の発信の仕方も参考になりますね。企業のIRページを見て、ただ数字や文字をずらっと並べるだけじゃなく、図やグラフを使って、わかりやすく説明しようとしているか。ここにも、経営者の誠実さが出るんですよ。

投資家は機関投資家やプロの投資家だけじゃありません。私たち個人投資家も企業にとって大切な存在です。だからこそ、個人投資家にもわかるように丁寧に説明してくれる経営者。
そういう経営者を信頼すべきなんです。ですから、皆さんぜひ株主総会に足を運んでください。最近はオンラインで中継してくれる企業も多いですから、自分の目で確かめてみることが大切です。

■負の情報をさらけ出す企業こそ長期保有に値する
結局、安定的に成長している企業というのは、経営者が社員から信頼されています。終身雇用制を批判する風潮がありますが、やはり安定的に成長している企業の社員は長くその会社に勤めていますよね。それって、社員が経営者を信頼しているということではないでしょうか。そして、その会社の待遇に満足している証拠ではないかと思います。

同じく、株主も複利を武器に長期投資する場合、なんと言っても株主が、経営者を信頼できないと長期保有など難しいに決まっています。会社の経営というのは様々なリスクがあったり、突然の外部環境の変化が日常的に襲ってきます。たとえば2025年4月のように突然、トランプ関税なんていう話もあるわけですね。

そうした様々なリスクに対してどのように対応するのか? こうしたネガティブな話を率直に株主に語る姿勢をもっている企業というのは、やはり長期的に見れば安定成長につながっていると思います。

著者:杉村 太蔵(元政治家、投資家)
1979年8月13日、北海道旭川市出身。
2004年3月筑波大学中退。派遣社員から外資系証券会社勤務を経て、2005年9月衆議院議員選挙当選。現在、テレビ・ラジオ・雑誌などメディアで活動する一方、派遣社員から国会議員、落選して無職からタレントに転身するなど、自身の経験を交えながら語る政治・経済をテーマとした講演活動を全国で行う。
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