時の流れは人を変えることがある。一方で、持って生まれた性格はそう変わるものではないともいう。
いったい、どちらが正しいのだろう。そして変わってしまう人には何があったのだろうか。

■何でも話せる仲よしのママ友
結婚して13年たつアヤカさん(45歳)。12歳と9歳の子がいるが、上の子が小学校に入るタイミングで引っ越した。

「私の両親が、夫婦二人きりだから一軒家を手放して、もっとコンパクトなマンションに住みたいと言うようになったんです。ちょうどうちは手狭になっていたので、じゃあ、とその一軒家に私たちが住むことになりました」

当時、一番寂しかったのは同じマンションや近所のママ友と別れることだった。保育園で知り合ったママ友たち7人ほどでグループLINEをしていたし、日常生活のことから夫婦関係まで、オープンに何でも話せる関係ができていたからだ。

「中でもヨウコさんとは仲よくしていました。彼女の方が3歳ほど年上ですが、いつでも私の心に寄りそってくれて。互いに午後休をとって買い物に行ったり映画を観に行ったり。夫とケンカをしたときは、いつもヨウコさんに愚痴ってました。それは夫にも言っていたので、夫はヨウコさんに会うと『いつもすみません』なんて言うほどでした」

少し距離が離れたので、毎日のように顔を合わせることはなくなったが、メッセージのやりとりは続いていたし、アヤカさんが古巣の地域に子連れで遊びに行くこともあった。


■再会を楽しみにしていたが
ただ、時間がたつとやはり、アヤカさんは「今の場所」で友人知人を作ったし、だんだんヨウコさんとも連絡が間遠になっていった。

なるべく早く会おうねと言いながら、なかなか会えずにいたのだが、ついにこの夏、会う約束をした。

「夫は夏休みに子どもたちを連れて、久々に両親とゆっくり過ごしたいと言っていた。義両親は2時間ほど離れた場所で暮らしているんですが、なかなか会いに行けなくて。両親も誘って近くの温泉に行こうと夫が提案し、私も楽しみにしていました。ところが私の仕事の都合がつかなくて、私だけ遅れて行くことになったんです。行く前に少し一人だけの時間がとれると分かり、ヨウコさんに連絡すると、時間の都合をつけてくれた。会えばまた、前のようにおしゃべりで時間を忘れるんだろうなと思っていたんです」

ところが、実際に会うと予想は裏切られた。

■いきなり無神経な言葉が
ほぼ4年ぶりに会ったヨウコさんは、アヤカさんを見るなり「久しぶりー。何年ぶりだろ。ねえ、すっごく太った? シワも増えたねー」と大声で言った。

「え、という感じでした。
私は体重は変わっていないし、確かにシワは増えたけど、第一声でそんなこと言う人います? だいたい、彼女はそういう人じゃなかったはずなんだけどとうろたえてしまいました」

うろたえたアヤカさんに、ヨウコさんは「ダンナさんの両親はどこに住んでるんだっけ。まだ生きてるの?」と言った。以前、義父が倒れたとき、不安でヨウコさんに話を聞いてもらったことがある。それを彼女は覚えていたのだろう。だが「まだ生きてるの?」はいくら何でも失礼すぎる。

「急速に気持ちが萎えていきました。確かにヨウコさんと私の距離は、まるで姉妹みたいだったし、言いたいことも言い合っていたけど、誰が聞いても失礼だと思うような発言をする人ではなかった。彼女に何があったんだろうと思いました」

■突然現れた若い男性に……
話を聞いていくと、ヨウコさんは情熱を傾けていた仕事を辞めていた。子どものことや義母の介護などが重なって辞めざるを得なかったようだ。言葉の端々から、夫への非難にも似た言葉が漏れた。

一方のアヤカさんは、幸運なことに社内で昇進している。夫も仕事は順調で、二人が本当に忙しいときは義母が2時間かけて手伝いに来てくれたりする。
アヤカさんは自分の親より夫の両親に気を許していた。

「聞かれるがままにそんな話もしてしまったんですが、ヨウコさんは『うちの夫も役職がついてね。大企業だから出世するのは大変なんだけど』と妙に大きな声で言っていました。なんだか無理しているというか、以前の彼女とは違っていた。夫の自慢なんてしてもしょうがない、自分の生活や考えを話した方が楽しいよねと前は言っていたのに……」

あげく、彼女に電話がかかってきた。話が終わると彼女はニンマリと笑い、「ねえ、今日は夜中まであなたと一緒にいたことにしてね」と立ち上がった。一緒に食事をするはずだったのにとアヤカさんが驚いていると、ヨウコさんはカフェの前に現れた若い男性に抱きつかんばかりに走り寄った。

「若い彼氏がいることを私に見せたかったのと、アリバイ工作に私を使おうとしただけなのかもしれませんね。私は別に彼女の恋愛を否定するつもりはないけど、楽しそうではなかったのが気にかかりました」

早めに帰宅して夫に連絡、テレビ電話で義両親に「明日行くから待っててね」と伝えた。義両親も夫も子どもたちもニコニコしながら「待ってる」と言ってくれたという。その笑顔を見ながら、アヤカさんはヨウコさんと心の中で決別した。
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