6月に世界最大のIPOを行ったスペースXが、日本時間の8月5日朝に2026年12月期第2四半期の決算を発表した。IPO後も成長が確認された反面、翌日の株価は約13%下落した。
スペースXの2026年12月期第2四半期の状況を解説する。スペースXのIPOには日本から多くの投資家が参加したものの、株価は公開価格割れが続いており、早期の回復が待たれる状態だ。
AI銘柄として世界最大のIPOを実施

ロケットおよびスターリンクが中心事業のスペースXだが、AI事業に巨額の投資を行う計画を発表してIPOは行われた。その結果、スペースXはAI銘柄としての色彩が強いIPOとなり、生成AIを手掛ける企業としてはOpenAIやAnthropicよりも早くIPOする形となった。そして、IPO初日は公開価格135ドルを上回る初値150ドルが付き、順調な株式市場デビューを果たした。しかし一時225.64ドルまで上昇した株価はその後下落が続き、7月後半からは110ドル台を前後し、公開価格を下回っている。
売上収益は前年同期比92%増

第2四半期(以下、Q2)は、前年同期比92%増の大幅増収だ。それに伴い損益も▲1,008M$の赤字から、▲541M$の赤字に減少した。IPO後もスペースXの成長は明らかで、売上は市場予想を上回っている。

また決算説明で、同社CFOのブレット・ジョンセン氏はスターリンクやAI企業向けのインフラ長期契約など継続的な収益が年末までに年換算で1,000億$となる見込みと発言。同社の収益予想は開示されていないが、スターリンクやデータセンターの契約など、継続的な収益が得られるビジネスの成長が続いていることがうかがえる。

設備投資の86%がAIへの投資

Q2決算ではAI投資に対するアクセルが、再認識された。
ただし第1四半期を大きく上回る設備投資金額(Q1:10,107M$→Q2:18,369M$)に対し株式市場はネガティブな反応を見せ、決算発表翌日のスペースXの株価は108.27ドル(前日比13.61%下落)で取引を終えた。

Q2の設備投資18,369M$のうちAIへの設備投資は15,828M$であり、設備投資の86%がAIへの投資だ。同社の現在の収益の柱はスターリンクだが、AI事業への投資額はスターリンクを圧倒している。ただし、AIへの投資はAnthropicとGoogleへの計算資源提供が主目的となるデータセンター投資(継続収入が見込める)が大半であり、CFOのコメントのように収益の裏付けのある投資が行われている。

株式市場ではAI相場は一段落しているが、AI業界の最前線では積極的な投資が続いており、AI相場の第2幕がいずれ始まる可能性は残されていると言えるだろう。
ロックアップ解除初日は一時反発

決算の内容自体は悪くないが、スペースXは設備投資の増加が嫌気され株価の反発には至らなかった。7月は米株式市場全体が停滞する中で、スペースX株の下落が進んだ。しかし、8月に入りダウ平均が史上最高値を更新するなど、株式市場は次のAI相場の準備が進んでいる可能性もある。

世界最大のIPOとなったスペースXだが、8月の株価は初値150ドルどころか公開価格の135ドルも下回っている。

一方、8月6日には上場後初となるロックアップ(株式売却制限)の解除を迎え、従業員や初期投資家が保有する約9億1200万株が売却可能となった。大量の株式が市場に出回ることへの警戒が広がっていたが、解除初日の株価は一時約2%上昇した。実際の売却圧力が懸念されたほど強くなかったことや、空売りしていた投資家による買い戻しが株価を支えた可能性がある。


ただし、売却可能となった株式が今後どの程度市場に出てくるかは不透明であり、初日の反発だけでロックアップ解除の影響を判断するのは早い。公開価格の135ドルを回復できるかに加え、出来高や株式の需給、巨額のAI投資が収益に結び付く時期が今後の焦点となる。株価および業績の行方から目が離せない。

石井僚一 いしいりょういち 金融・投資ライター。大手証券グループ投資会社の勤務を経て、個人投資家・ライターに。株式市場や為替市場に関連する記事の執筆を得意としている。資産運用記事やインタビュー記事も執筆中。第一種証券外務員資格保有。 この著者の記事一覧はこちら
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