連載20周年を迎える原泰久の人気コミック『キングダム』。その舞台化第2弾となる舞台『キングダム II-継承-』が、8月より東京・東京建物 Brillia HALLにて開幕する。

初日まで1ヵ月を切ったこの日、メインキャストによる会見と公開稽古が実施され、その模様をレポートする。

【写真】開幕まで1ヵ月、早くも熱い稽古を展開!

 2023年に帝国劇場で上演された初演「王都奪還編」に続く本作が描くのは、中華に名を轟かせる秦の大将軍・王騎の壮絶な戦いを描く、原作屈指の人気エピソードだ。信役の三浦宏規高野洸、王騎役の山口祐一郎ら初演からの続投キャストに加え、羌かい役の山本千尋、ほう煖役の東啓介・章平ら新たな顔ぶれも加わる。

 会見には、主演を務める三浦宏規・高野洸をはじめ、山本千尋、東啓介、章平、華優希、元木聖也、竹内將人、清水葉月渡辺大、飯作雄太郎、大塚千弘、石川禅、そして山口祐一郎の14名が勢揃いした。

 座長の三浦は「前作からのキャストに新たな顔ぶれも加わり、物語はもうクライマックス。とんでもないことになっている」と手応えをのぞかせる。高野も「それぞれが思いを継承して戦場に立っている。全員のかっこいい姿を見てほしい」と続けた。

 秦国の大将軍・蒙武役で新たに加わった渡辺大は「作品のスケールに負けないよう、舞台で大暴れしたい」と力強く宣言。大阪・福岡公演で同じく蒙武を務める飯作雄太郎は、東京公演の渡辺から役を引き継ぐことに触れ、「これもひとつの継承」と、本作のテーマになぞらえ意気込みを語った。

 羌かいと姉妹のように育った羌象役の清水葉月は、山本演じる羌かいとの芝居がメインとなる。「三浦さんの信を経た羌かいと、高野さんの信を経た羌かいとで、受け取るものが全然違う。
面白い体験です」と、Wキャストならではの発見を明かした。

 王騎とほう煖の因縁に関わる将軍・摎役の大塚千弘は、山口とは高校生の頃からの縁。「またこうしてご一緒できることが幸せ」と充実の表情を見せ、山口も父親のような笑顔で相槌を打った。

 会見で終始感じられたのは、カンパニーの温かな空気だ。この日誕生日を迎えた東を、山口が「今日はトンちゃん(東)のお誕生日なんです」と紹介すると、登壇者から祝福の拍手が起こる。稽古場でも、入口から最初に見える場所に山口の席があり、「入るたび、祐さまが誰よりも大きな声で明るく挨拶してくれる」(高野)、「敵対する役なのに、毎回自分から握手して『ファイト』と声をかけてくださる」(章平)と語る。山口の王騎を思わせる包容力が、カンパニーを支えているようだ。

 蒙毅役の竹内將人が「セリフ一つでお客さんに大きく届く。愛の力を目の当たりにした」と山口と騰役の石川禅を称えれば、2人が竹内のもとへ歩み寄り握手を求める場面も。世代を超えて刺激し合う様子がうかがえた。

 締めの挨拶では、高野が挨拶の途中で続く言葉が出ずに「あれ? なんだっけ!」となる一幕もありつつ、山口のフォローと温かな笑いに包まれながら会見は終了。前作は冬、今作は夏の上演となることに触れた三浦の「文字通り、熱い夏を過ごせそうな予感がしている」という言葉通り、熱量に満ちた座組の姿が印象に残った。


【公開稽古レポート】

 会見に続いて、信の初陣となる「蛇甘平原の戦い」の場面を中心とした公開稽古が行われた。稽古場がまるで壮大な蛇甘平原に感じられる、舞台『キングダム』ならではのダイナミックな展開は健在だ。

 シーンは、騰(石川禅)の語りから幕を開ける。会見での柔らかな雰囲気から一転、この先の物語の行く末を見極めるような、静かで鋭い視線を投げる。その語りに呼応するように、初陣の信が尾平(元木聖也)、尾到(篠崎大悟)らとともに戦場へと現れる。

 信を演じるのは、三浦宏規と高野洸のWキャスト。まずは三浦の信が登場。高揚感に身震いし、目をきらきらと輝かせる生意気な佇まいが印象的だ。天性の才を感じさせる殺陣で、初陣とは思えない存在感を放つ。もう一組の稽古では、高野の信が野生味あふれるやんちゃな空気をまとって登場。戦場を怖いものなしで駆け巡り、勝ち気さを前面に押し出した殺陣で魅せる。初演同様、同じ信でありながら2人のアプローチはまるで違う。
それでいて、どちらも信としての説得力を持つ芝居が、稽古終盤を前にすでに確立されていた。

 その戦場で窮地に駆けつけるのが羌かい(山本千尋)だ。すっと音もなく現れる静けさが、騒がしい戦場のなかで異彩を放つ。舞うような殺陣は、世界ジュニア中国武術選手権大会優勝という山本の経歴を存分に生かしたハマり役。想像以上の速さと、予測できない動きが、アクションシーンに新たなリズムを生み出していた。その圧巻の立ち回りは共演者の目にも鮮烈に映ったようで、会見で華優希が「人間の首ってここまでいくんだ、と驚いた。目が離せない」とその身体表現に舌を巻いていたほど。山本自身は「まだ正解は出ていない」と語るが、2人の信が「説得力がある」と口を揃えるその立ち回りは、稽古段階とは思えぬ完成度を誇っていた。

 続投組の安定感も光る。前回はクールな役どころだった元木が、情けなくも懸命に戦う尾平を好演。初陣を終えた信を、河了貂(華優希)が迎えるシーンでは、華のかわいらしくも健気なその存在感が、血生臭い戦いのあとの空気を一変させた。本番で再びコロンとしたあのフォルムの河了貂姿が観られるのが待ち遠しい。


 キャストからも口々にハマり役と太鼓判を押され、自らも「命懸けでやっている」と語る王騎(山口祐一郎)の登場シーンは圧巻だ。稽古着ながら、騰と並び立つ姿はまさに大将軍。会見で石川禅が「原作の騰は無表情で心が読めない。どう演じるか頭を抱えている」と明かしていたその掴みどころのなさも含め、2人が並ぶ姿には揺るぎない風格が漂っていた。目下特訓中だという「ファルファル戦法」にも期待したい。

 そして場面は切り替わり、王騎を求めるほう煖が一瞬だけ姿を見せる。東啓介と章平のWキャストが、あふれ出る覇気で武神を体現。今回、ほう煖の殺陣はお披露目されなかったが、この2人が王騎とどうぶつかり合うのか、開幕への期待が高まる時間となった。

 舞台上で交わされる思いの継承と、カンパニーが積み上げてきた絆。その熱量が炸裂する夏の陣は、8月9日にいよいよ幕を開ける。

 舞台『キングダム II-継承-』は、8月9日~9月13日東京・東京建物Brillia HALL、9月21日~29日大阪・新歌舞伎座、10月6日~13日福岡・博多座にて上演。

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