金正恩総書記が7月11日、中国との友好協力相互援助条約締結65周年に際し、習近平国家主席に祝電を送った。「戦略的選択」「最も強力かつ戦略的な社会主義国家間関係のモデル」といった最大級の表現を並べ、ここ数年で最も丁寧かつ熱量の高い対中メッセージと言える。
中国との友好関係をこれでもかと強調した文面からは、中国への熱烈なアピールとも受け取れる姿勢がにじむ。 昨年の今ごろは、ロシアとの軍事協力や首脳外交が話題の中心で、「ロ朝蜜月」が世界に誇示されていた。しかし、この1年で風向きは変わった。2025年の金正恩氏訪中、2026年の習近平氏訪朝を経て、中朝首脳外交は再び活発化。今回の祝電は「中朝関係は健在」と内外に印象づける狙いもうかがえる。 とはいえ、「ロシアから中国へ乗り換えた」とみるのは早い。中国は最大の経済的後ろ盾、ロシアは安全保障と軍事協力の要であり、北朝鮮はどちらも手放せない。対米・対西側という共通の利害の下、中朝ロ3か国の連携維持こそが金正恩氏の基本戦略だ。 だからこそ、今回の対中アピールは外交上の綱渡りでもある。中国を持ち上げればロシアが警戒し、ロシアへ接近しすぎれば中国が不満を抱く。二つの大国の間で均衡を保ち続けるのは容易ではない。 祝電では「中朝友好は不変」と繰り返された。
しかし、国際政治に永遠の友好はない。中国にもロシアにも“いい顔”をし続けるほど、その外交は難しくなる。異例なほど熱のこもった今回の祝電は、北朝鮮外交の苦しい立場を逆に映し出したのかもしれない。
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