北朝鮮で軍高官だったパク・フィチョル元朝鮮人民軍総政治局組織副局長の大規模な汚職・腐敗が、金正恩総書記出席の党・政府・軍合同会議――実質的な公開裁判で暴かれたことを受け、住民の間では「今回を機に幹部社会にまん延する腐敗を一掃すべきだ」との声が広がっている。デイリーNKの両江道の消息筋が20日、伝えた。

今月10日に開かれた党・政府・軍合同会議では、パク氏による「特大型の不正腐敗行為」が公開の場で糾弾された。軍幹部が国家の重要会議でのショー化された公開裁判で断罪されるのは極めて異例で、住民の関心も高まっているという。

消息筋は「恵山市では最近、『パク・フィチョル事件』が最大の話題になっている」と説明。「国家の重要会議で公開裁判を受けるほどなら、想像を絶するような不正を働いたに違いないという受け止めが多い」と語った。

住民の間では、「あれほどの地位にいたのだから、どれだけ賄賂を受け取っていたのか」「十分にぜいたくな暮らしをしていたはずなのに、欲を出し過ぎた」「もう立ち直ることはできないだろう。短くても好き放題に生きた人生だった」といった反応が聞かれるという。

一方で、こうした声の背景には、特権階級に対する長年の不満が蓄積しているとの見方もある。

消息筋は「住民は『結局、パク氏は権力を利用して十分に利益を享受してきた』と見ている」と述べ、「権力を盾に賄賂を受け取り、威張り散らす幹部への反感が反映されている」と指摘した。

北朝鮮では、商売の許可や旅行証の発給、各種取り締まりや検閲など、日常生活のさまざまな場面で権力機関の幹部に賄賂を渡さなければ不利益を避けられないとの認識が広く浸透している。このため、幹部が賄賂で私腹を肥やしていることへの不満は以前から根強い。

消息筋は「恵山市だけを見ても、多くの幹部が取り締まりを見逃す見返りに賄賂を受け取り、国家物資や生産品を横流しして利益を得ている。さらに人事権を悪用して親族や側近を要職に就け、仲間内だけで利益を分け合っている」と説明。

「こうした実態は今に始まったことではない」と語った。

その上で住民の間では、「今回の事件を一人の幹部の処罰だけで終わらせるべきではなく、権力機関全体に広がる腐敗を調査する契機にすべきだ」との意見が出ているという。

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