北朝鮮の金正恩総書記が進める平壌のニュータウン開発の目玉として登場した大型ゲームセンターが、開業から1年足らずで閑散としていると伝えられた。利用料金は1時間2ドル。

平壌市民からは「そもそも誰にそんな外貨があるのか」との声も上がっているという。

問題の施設は、平壌市和盛地区にある「和盛コンピューター娯楽館」。北朝鮮の対外宣伝サイト「ネナラ」は昨年9月、各種のコンピューターゲームを楽しめる「特色あるサービス拠点」「最先端の娯楽館」として紹介した。

館内には「コール・オブ・デューティ」「カウンターストライク」「FIFA」など欧米製の人気ゲームが導入されている。国外文化の流入を厳しく取り締まる北朝鮮で、西側のゲームを公然と遊べる施設は異例だ。

昨年11月、共同通信は中国人らによる交流サイト(SNS)への投稿を基に、娯楽館が「活況を呈している」と報じた。20~30代の男性客が中心で、毎日のように通う常連もいるとされた。

ところが、米政府系放送局「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が20日に伝えた最近の様子は、これとは正反対だった。

平壌市の住民はRFAに対し、「和盛娯楽館はほとんど空いている」と証言。営業時間中でも利用客はほぼ見当たらず、館内には管理要員の姿が時折見えるだけだと語った。

利用者が定着しなかった最大の理由として挙げられているのが、厳しい利用条件と料金の高さだ。

娯楽館の営業時間は午後5時から同10時まで。

未成年者は入場できず、利用代金は専用カードに外貨を入金して支払う。料金はゲームの種類により、1時間当たり最低2ドルとされる。

2ドルは、日本円で約300円に相当する。金額だけを見れば、日本のインターネットカフェと同程度に映るかもしれない。しかし、韓国・ソウルの一般的なPC房では1時間千~2千ウォン程度で利用できるケースが多く、北朝鮮の料金は近隣国と比べても割安とは言い難い。

まして、住民の所得水準や外貨へのアクセスを考えれば、平壌でも気軽に支払える金額ではない。

北朝鮮では国定賃金だけでは生活を維持できず、多くの住民が市場での商売や副業に頼っている。外貨を安定して手にできるのは、貿易機関や外貨稼ぎ事業に関係する幹部層、商売で成功した富裕層など、一部に限られるとされる。

RFAに証言した住民も、「ドルを稼げない状況で、ゲーム1時間に最低2ドルを払えというのはあまりにもばかげている」と指摘。「総書記の人民愛の結晶だと宣伝しているが、実際には一部の金持ちが時折利用できる娯楽空間にすぎない」と語った。

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